You Copy?



『あ、後を追ってしまう妹を…許してください兄さぁぁぁん…!!』

「兄…?」

「…兄もおるのか、ここに」

『グズッ…し、死んじゃってます…最近』

「っ………」



ピクリ、三成さんの刀先が震えた。何事かと見上げれば真っ青な顔をした彼が見えた。そしてみるみるうちに真っ赤になって怒る…何故だ



「三成…すまなんだ、こ奴も大切な者を亡くしたばかりでなぁ」

『そ、そうですか…』

「くっ…家康…!こんな所で足踏みしている暇はないっ!!早く帰せっ!!!」

『帰し方分からないんですってば!!私が連れて来たわけじゃなく−…!』



元親と元就さんの飲み込みが早かったのか、三成さんの反応が普通なのか。お互いに冷静さを欠いてるから余計に話がまとまらない

刀を震わせる彼と体を震わせる私。部屋の隅に座る刑部さんは考えるように首を傾けていた



「ふむ…」

『ぅ……?』

「ぬしの言うことも…納得せざるをえぬかもしれんなぁ」

「刑部っ!!!こんな女を信じると言うのかっ!!!?」

「いやぁ、我も信じたくないのだが…ほれ、見やれ」



包帯ぐるぐるな指がゆっくりと私…の後ろを指差す。そこには本棚を利用した雑貨の飾り棚があった

そして…兄さんと私の写った写真が飾ってある




『わ、私と…生前の兄さんの写真、です』

「しゃ…」

『絵、ですね。かなり緻密でそっくりな』

「…三成、」

『っ!!!?』



刑部さんが手をかざせば、ふわりと写真立てが浮き上がりフワフワと三成さんの手元へ。え、なに、これ、エスパー?

驚いて固まる私を後目に、写真を受け取った三成さんはじっとそれを睨み付け…た…ら…








「ひ、でよし…さま…?」

『…………はい?』

「やはりぬしも太閤に見えるか」

『太閤?いや、兄は普通のサラリーマンで…』

「秀吉さまぁぁぁぁっ!!!!」

『(えぇ−…)』



ガッツリ膝から崩れ落ちた三成さん。私も恐る恐る近づき写真を覗き込むが…うん、私の大学の入学式で撮った写真。私と兄さんで間違いない



『秀吉さま…て豊臣秀吉ですか?』

「いかにも」

『いや、私たちは木下ですし。兄も秀吉なんて名前じゃ』

「何を言うかっ!!!私が秀吉さまを見間違えるはずがないっ!!!」

『えぇ−…』

「確かに、われらの知る太閤より一回りほど小さい」

『…秀吉さんってどんだけデカいんすか』



兄さんも元親ぐらい大きかったのにそれ以上とか。私が若干引いていると、三成さんは何故か泣き始めたし…あぁ…もしかして三成さんの大切な人って…



「…………ヒヒッ」

『うわ、今の笑い。絶対に悪いこと考えましたね』

「ほぅ、われの企みが分かるか。聡い女よ、ならば…」

『ふぎゃっ!!!?』



突然体が浮き上がり見上げれば頭上に、刑部さんの後ろに浮かんでいた玉がある。うわ、人も動かせるのかこの人

そしてそのままフワフワと…部屋の隅に連れていかれた



「よく聞け三成」

「っ…………」

「太閤は死んだ。殺されたのよ、徳川に」

「しかし刑部!この絵のお方は…!!」

「そうよ、太閤よ。あの女が言うようにここがわれらの世と違うなら説明がつく」

『……はい?』

「この男は太閤が転じた姿……つまりは生まれ変わりよ」

「なにっ!!?」
『えぇ−…』

「何の因果か生まれ変わった世でも、太閤は殺されてしまった…哀しいことよ。そこで呼ばれたのがわれら」



何を言い出すのかこの人は。転生とか。いや、タイムスリップも信じられないが転生て

それ以上に驚くべきは、さっきまでヒステリックだった三成さんが大人しく話を聞いているってことだ



「私が秀吉さまに…?」

「この娘は太閤の妹であろう?嫁入り前の妹を残し死ぬとは…どれほど心残りであったか」

「っ!!!!!!」

『ひぃっ!!!?』



バッと私を振り向いた三成さんが、目を血走らせて寄ってきた。怖い、怖いよ三成さん。そして楽しそうに笑うな刑部さん



『あ、あの…』

「ご無礼をお許しくださいっ!!!」

『あ、いや…三成さんの反応が普通なんですよ、うん』

「三成とお呼びくださいっ!!!」

『……三成』

「はいっ!!!」



刑部さぁぁぁぁんっ!!!あんた、三成に何したんだっ!!!さっきまでの恐ろしい彼はどこいった。そして兄さん、あなた何者ですか



『あ…の…』

「秀吉さま亡き今、妹君の御身は私がお守りします!何なりと御命令を…!!」

『……三成』

「はいっ!!」

『私…着替えるために、ここ来たんだ』





mae tugi

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