You Copy?
『はい、じゃあはじめにお風呂の説明をしまーすっ』
六人の武将を引き連れて、ゾロゾロと風呂場までやってきた。三成は私の隣でなく、猿飛さんにピッタリくっついている
ああ、変なことしたら斬滅してやるってことだね物騒だ
『まず皆さんには順次湯あみをしてもらい、その間に朝食を用意します』
「雪子殿っ!それは何でござろうっ」
『これは洗濯機です。順番に説明していくからね真田君っ』
「うむっ」
『これから水の出しかたを説明しまーす』
私が手を挙げて風呂場に入れば、トコトコ(一人はフワフワ)ついてくる…くっ…みんな、なんか可愛いです
まぁみんなで入るには狭いから、脱衣所から覗いてもらうことにする
『えっと…まずこっち、右側をひねれば水が出て。左側で…お湯が出ます』
「「おおっ…!!」」
『…素敵な反応、ありがとう元親、真田君』
大谷さんの「誰が沸かしよる」って質問に答えつつ、私はシャワーへの切り替えやシャンプー、リンス、ボディソープの説明を続けた
予想通り三成と真田君は眉間にシワを寄せて唸っている。猿飛さんと大谷さんに目配せしたら頷いてくれた
「ヒヒッ、三成。ぬしはわれと入るか」
「なっ−…!!私は一人でも大丈夫だっ!!!」
「いやなに、われが手伝って欲しいのよ。他には頼めぬでなぁ」
「…分かった」
『…………』
「そう言えばさ…旦那たちも風呂から来たの?」
ふと思い出したように猿飛さんが問えば、隣の三成がギロリと睨む…いや何故睨む。とりあえず彼の代わりに元親が答えてくれた
「俺と毛利もな、気づいたらここに居たんだよ。大谷、あんたもか?」
「ぬしらが留守の間になぁ…まこと驚いた、三成が湯船に浸かったからよ」
「こっちは毛利が浸かったな」
「え…うちは大将が…」
『…………』
…ここにきて共通点。彼らは二人ずつ風呂場に落ちてきて、片方は湯船、片方は床へ。帰る方法には関係なさそうだけれど
「やはり…家康が私たちを−…!!」
『…徳川家康?』
「うむ、東軍の大将…我らの世でぬしの兄を殺した男よ」
『えぇ−…だから兄さんは秀吉じゃないって…ん?』
彼らの世界じゃ徳川家康が豊臣秀吉を殺したことになってるの?やはり私の知る歴史と違う…食い違ってる
「石田…家康が犯人ってのを判断するには早いんじゃねぇか?」
「何を言うか長曾我部!」
「まぁ石田の旦那が言うみたいに…東軍の連中が怪しいよね」
『あー…みんな、西軍所属ですからね』
確かにそれは重要な話だ。やっぱ徳川家康の仕業?いや、理由が分からない。東西戦…関ヶ原…この戦の結果は…
「雪子殿っ」
『ん?』
「役立つかは解らぬが…某、頭上より落ちてきた」
『頭上…って天井から?』
「うむっ」
真田君に言われて上を見上げてみた。すると…白い天井に一ヶ所、青いシミ…というか歪みが見える。それは徐々に大きくなり…ああ、天井から落ちたってこういうこと…って…!!
「うぉっ!!!?」
『きゃぁっ!!!?』
バッシャンッ!!!!!
「雪子殿ぉぉぉぉっ!!!?」
青い塊が落ちてきたと思えば、やはり時間差で大きな水音が響いた。私はと言うと…青い塊に押し倒されている…ええ、人の顔が目の前にありますとも
…………人の顔?
『…………』
「っ〜…Ah?あんた…」
『…おはよう…ございます…?』
「…………おう」
大きな三日月と眼帯。まだ現状が理解できていない彼は、首を傾げながら私の顔を見つめている。私は背中が床だから、彼しか見えてない。悪い意味で
しかもまた…増えたよ武将。落下頻度が尋常じゃない
「…あんたみたいな女…連れ込んだ覚えねぇけどな」
『あ、はい、連れ込まれてないです』
「Ah〜…ここはどこだ?」
『私の家なんですよね』
意味がわからないという風に眉をひそめる三日月さん。いや…考える前に退いてほしいな
彼の格好はと言うと左手を私の肩に、右手は顔の横についている。つまり完全に押し倒されているんだ。また元就さんに怒られるじゃないか
「政宗様っ!!!!」
「雪子様っ!!!!」
『っ−…!!』
「チッ…」
ピタリ、ほぼ同時に彼と私の首筋に刀があてがわれた。それは三成と…知らない男の人
「貴様ぁ…!!!恐れ多くも雪子様を押し倒すなど…!!」
「石田っ!!!政宗様から離れやがれっ!!!」
「石田…?っ…ハッ、まさかそっちから来てくれるとはなっ!!」
「誰だ貴様っ!!!」
「なっ−…!!」
『…………』
三成は覚えてないみたいだけど、三日月さんともう一人の男性は知っているらしい。さすが石田三成…顔が広い
一応、頭を動かしもう一人の男性を確認して…後悔した。怖い、怖いよお兄さん。ヤ○ザ顔負けの顔にマジでビビってしまう
それに気付いたらしい三日月さんが、私に刀を向ける彼に声をかける
「小十郎!怖がってるじゃねぇか、刀しまえっ」
「政宗様っ…!!」
『み、三成…先に三成が引いてあげてっ』
「しかし雪子様っ…!!」
「ヒヒッ、雪子…」
『う゛…す…捨てちゃうぞっ』
「!!!!?」
高速で三成が離れたのが分かる。それを初めて見る真田君と猿飛さん…そして三日月さんと強面さんは目を見開いて驚いた
…大谷さん、笑っちゃダメですよ
「…いい加減、雪子から離れぬか、伊達政宗」
「毛利…と長曾我部までいんのか」
『え……伊達政宗?』
「なんだ?」
『えぇ−…』
とりあえず…元就さんの脳天チョップが落ちる五秒前
mae tugi