You Copy?



『…いや、ほんと、すみません』

「・・・・・」



やっと太陽が昇り始めた頃。ベランダに出て光を浴びて帰ってきた元就さん。その前に正座する私

起きてきた大谷さんはそれを見て、お腹を抱えて爆笑している。朝方の事件は報告済みだ



『み、三成と猿飛さん…元親も普通だったから…忘れてました』

「………」

「…やれ三成、雪子の裸を見たのか?」

「!!!!!」

『や、一応下着は着てましたよ大谷さん』

「あれで…着ていたと申すか」

『申し訳ありませんでしたっ!!!』



ものすごく毒々しいオーラを出す元就さんに、思わず額をつけて土下座した。三成はそれを止めたいみたいだけど、私を直視できないらしい。なんだこのウブ



「長曾我部…!!貴様はあの場で何故平然としておった!」

「いや…まぁ、胸もなんか着けてたしよぉ…サヤカもあれぐらい露出…」

「貴様に聞いた我が馬鹿であった!!!」

「ねぇ…姫さん」



ここにきて、隅で静かにしていた猿飛さんが声をかけてくる。ちなみにまだ、真田君の目は塞がれたままだ



『はい』

「…とりあえず、もう少し何か着てくれないかな?」

『えぇ−…Tシャツと半パンじゃ駄目ですか?』

「いやぁ…せめて足は隠して欲しい、な。俺様んちの大将、ちょっと純粋だから」

『はぁ』



とりあえずバスタオルを足に掛けたら、ごめんね〜と笑う猿飛さん。そしてやっと真田君は解放される



「佐助!何故、某は目を…ん?毛利殿っ!」

「…………」

「なんと、大谷殿まで…ここは豊臣の城であろうか?」

「なぁんか…違うっぽいよ大将。知らない姫さんがいるし、ね」

『っ…………』



猿飛さんと真田君の視線が私に向けられた。私を見て驚く真田君は、三成と見比べて最後に猿飛さんを振り向く



「この方は?」

「んー…豊臣の姫様っぽかったけど、さっきの様子じゃ毛利の旦那んちの子?」

「毛利にかような阿呆はおらぬ」

「じゃあ豊臣の妾?」

「貴様ぁ…!!秀吉様と雪子様を愚弄するか!!!」

「三成、やめよ。武田の忍も…」

「…………」
険悪な空気が渦巻く…睨み合う三成と猿飛さん。元親も困ったように肩をすくめるし、大谷さんと元就さんに至っては傍観を決め込んでいる

未だに武器を所持する彼らに油断できない…そうか!猿飛さんは真田君の部下だっ!!



『真田君っ』

「?」

『あの…ここはね、真田君の住んでた時代じゃ…ないんだよ』

「っ!!!?」



真田君に直球の言葉をぶつける。意味が分からないのか首を傾げる彼だけど、猿飛さんは冷めた目を私に向けてきた



「なにその冗談…石田、あんたのとこの姫様、頭おかしいの?」

「っ−…!!!」

「雪子がおかしいってなら、俺ら全員おかしいってことになるな」



カッと怒りで目を見開いた三成を抑え、元親が代わりに答えてくれる。彼が「なぁ?」と元就さんに問えば、ふんっと鼻で笑うが否定はしない

それに不安げな顔をしたのは真田君



「某は…神隠しにでもあったのでござろうか?」

「大将っ!!!簡単に信じちゃダメだって!」

「しかし…!!部屋を見よ!知らぬ置物ばかりではないかっ」

「っ…………」



真田君の言葉に唸る猿飛さんも混乱しているようだ。私は彼らに座るよう促し、昨日と同じようにこの世界の説明をする

貴方たちの時代を戦国と呼ぶこと、全員が名の知れた武将であること、しかし何処か食い違いがあること

そして…死んだ兄の話



「…姫さんは豊臣の妹ってこと?」

『そうなんですかねぇ…私も分からなくなりました』

「しかし…似ているぞ佐助」

「うん、そう思う」

『あはは…』



…兄さん、あなたはまじで豊臣秀吉ですか

苦笑する私をチラリと窺い、猿飛さんの視線は次に元就さん…そして大谷さんに向けられる



「帰る方法は…分からないんだね?」

「さよう…われらもこれから考えるところよ」

「この子が何か企ててる可能性は?」

「可能性があるなら、貴様らは出ていくがよかろう」

『ちょ、元就さんっ』

「佐助、あまり雪子殿を困らせるでないっ」

「大将…」

「雪子殿、先程は失礼した。我らも混乱していたとはゆえ、武器を向けるなど…」



丁寧に謝罪をする真田君…やばい、感動、新鮮だ。今までにないタイプの彼に、思わず私も頭を下げた…ら、三成に慌てて戻された



『いいよ、三成。もう怒らなくても』

「しかしこの忍は雪子様を…!!」

『や、三成も私の首を斬ったじゃない』

「っ!!!…そ、れは…」

『元親もはじめ、私を殴ったし』

「なに…?」

「雪子っ!!!だからアレは、反動で…!!!」

『だから気にしなくていいですよ!』

「…姫さん、後ろで旦那二人が一触即発だよ?」



三成と元親は置いといて、私は再び真田君に向き直る。少し緊張した面持ちの彼…私は姫でもなんでもないけれど



『帰るその日まで、ゆっくりしていってね。もうここまで増えたら遠慮なんかしないで!』

「かたじけない…!!某、真田源次郎幸村!佐助と共にお世話になりまするっ」

『はいっ』



挨拶のため真田君と握手をした。その時、膝に掛けたバスタオルが退いてしまって…


朝から真田君の「破廉恥ぃぃぃぃぁぁぁぁ」って叫びが家中をこだました





mae tugi

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