We Copy !!



「よう、かすが!ミスコンは余裕で優勝したな、流石じゃ…ねぇ…か…」

「……………」

「…その割に、単位落としたみたいな顔してんな」

「うるさいうるさいうるさいっ!!優勝なんて関係ない、その晴れ舞台を、何故、謙信さまが見てくださっていないっ…!」

「そりゃ…軍神は今、毛利をMakeupしてるからだろ」

「それが気に入らないっ!!何故、毛利を、謙信さまが…謙信さまがっ…!」

「…はぁあ」




文化祭ステージも山場。今年のミスコン優勝者のかすがを見つけ何気なく話しかける…ずいぶんご立腹なようだ

雪子のクレープ屋に行ったが目的の人物は留守。小十郎たちの到着を聞き、ステージの場所取りに来たのはいいが…BadTimingってやつか




「私だって、私だって謙信さまにメイクなんてしてもらったことないのに…!」

「Ahー…まぁ、うん、そうだな」

「謙信さまの手にかかれば毛利も美しく進化する…ああっ謙信さまの理想に沿った美しさを毛利がっ…くぅっ…!」

「小十郎…大谷…早く来てくれ…」

「このままでは謙信さまの懐刀の座までっ…だが謙信さまの理想を詰めたメイクを…メイクを毛利が、あの御手で…!」

「・・・・・・」

「ん?よう伊達!もうステージは始ま…」

「長曾我部ぇえぇえっ!!!!」

「うぉおぉおっ!!!?」




オレの何かがボッキリ折れかけたその時、空気を読んだように長曾我部がやって来たっ!!NiceTimingっ!!

ただならぬ雰囲気に気づいた長曾我部が逃げようとするが、逃がすかバカ野郎




「放せバカ野郎…!ミスコン優勝者と二人きりを邪魔して悪かったな…!邪魔者は去るぜ…!」

「逃げてんだろバカ野郎…!おら、アンタも何か労ってやれよ…!」

「今、何言っても地雷だろ…!」

「そうだっ!!私はただ、謙信さまに褒めてもらいたくてっ…!」

「上杉?それならさっき、すれ違ったぜ」

「何だとっ!!?」

「うおっ!!?」




長曾我部が軍神の名を呟いた瞬間、オレを押しのけ詰め寄るかすが!

長曾我部は気圧され気味だが、あー、えっと、と先程のことを思い返しているようだ




「ステージ帰りみたいだったな…挨拶がてら結果を聞いたんだが…」

「け、結果っ!?ミスコンの結果かっ!!」

「おお!わたくしのつるぎのゆうし、さすがですね…とか満足げに言ってたぜっ」

「長曾我部…今の、軍神の真似か…」

「う、うるせぇっ!!聞き流せよバカ野郎っ!!とにかく、上杉はアンタのステージをちゃんと見て…」

「ああっ…!謙信さまっ…かすがの勝利、見てくださったのですね…そしてっ、そしてっ…!きゃーっ!!!」

「・・・・・・」

「・・・・・・」




オレたちのことなんかもう眼中になく、かすがは軍神を思いながら身悶えている

それを二度見しながら離れていく大衆…ああ、コイツも雪子に負けず劣らず残念だったな




「…こりゃ雪子と気が合うはずだな」

「雪子も兄貴のことになるとこんなだからな…残念だ」

「ああ、実に…って、おい、長曾我部!」

「ん?って、噂をすればだ!おーいっ!!吉郎っ!!」

「む……」




長曾我部が手を振ったその先。ステージ待ちの客たちから頭一つ飛び抜けた男が見えた

名前を呼べばあっちも気づいた様子。人混みをその巨大で掻き分けやって来たのは…





「お前は…確か雪子の友達だったな」

「え?あ…わ、私かっ…ああ、かすがだ…じゃない!かすがです!」

「雪子の兄の吉郎だ。いつも雪子が世話になっている」

「い、いえこちらこそ!」

「…おい、オレら完全に無視されてねぇか?」

「自分で言うのもアレだが日頃の行いだろうな」

「おや、自覚済みなんだね。今日はお招きありがとう」

「うおっ!!?あ、ああ、竹中か」




妹の友達に挨拶する吉郎。そしてその後ろから現れたのは…にこやか上機嫌に笑う竹中だった

…何故上機嫌なのか。理由は一つしかねぇ




「吉郎は気づいてないみたいだが彼…元就くんが出場するのは女装コンだろ?」

「いかにもだが…よく知ってるな」

「ふふっ、僕らはここの卒業生だから。彼の積み上げてきたイメージが一瞬で崩れ落ちる様が楽しみで仕方ないよ」

「アンタも揺るぎねぇな…まぁ、毛利には悪いが犠牲になってくれ」




長曾我部の罠に飛び込み、女装コン優勝を吉郎と約束してしまった毛利。犯人である男はステージをニヤニヤ待っている

竹中の言う通りオレらが期待するのは毛利のイメージ総崩れ。雪子の兄貴のお気に入り…このまま独走させてたまるか




「蹴落とす、なんざ性に合わねぇが…手段を選んでる余裕はない。悪いな、毛利」

「ふっ…まさか君と意見が合う日がくるとは。悪いが元就くん、吉郎から可愛がってもらえる日はそう長くないよ覚悟したまえ!」

「アンタはちょっと理由が違う…って、おい、片倉たちが来たぜ!」

「お、ようやく…Oh…」




イベントの時間も迫り、続々とステージ前に皆が集まってくる

ここで待ち合わせていた小十郎…と、それに首根っこを掴まれた真田と石田も現れた。まさに喧嘩をしていたところを見つかった教師と生徒の図だ

その後ろには大谷と家康。あとは…




「おいかすが、軍神はこっちに合流すんのか?」

「ああ、ステージ側は雪子に任せる手筈だ。メイクも終わったはずだし…」

「猿と前田は運営sideだからいないとして、残りは…」

「ははっ、お呼びかね独眼竜」

「うおっ!!?ま、松永っ…と風魔!」

「(笑)、(笑)、(笑)」




そしていつの間にか輪の中には風魔と松永。吉郎と社交的な挨拶を交わしつつ、オレらに目配せしニヤリと笑う

…こいつも一緒なのは不本意だが雪子が誘ったなら仕方ねぇ




「軍神が来たら席に行くか…だがこの人数、場所は足りるか?」

「安心せよ、こんなこともあろうかとステージ真ん前を暗に陣取らせた」

「…抜かりねぇな大谷。あと、黒田も来てんのか」

「ああ。ヒヒヒッ!シャッターチャンスは逃さぬ、毛利の晴れ舞台ゆえなぁ、ヒッ…ヒーヒヒッ!!!」

「おや、それはいい。僕にもぜひ焼き増ししてくれ大谷くん。本人も思い出に取っておきたいだろうし…ふふっ」

「……………」




…長曾我部と顔を見合わせる。イベント開始直前、ここにきて少しだけ罪悪感が湧いたがもう遅い


そしてステージ上では、脇から現れた前座の前田がマイクを片手に注目を集める

さぁ、始まるぞ





2014150104.
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