We Copy !!



『チークは自然な方がいいですよね。テーマは清楚なお嬢様ですから!』

「くちべにはこちらにしましょう。すこしばかりきつくとも、このものにはあかがはえる」

『そうですね、髪飾りは…あ、結ばずサイドに流します?』

「雪子…上杉…貴様ら覚えておれ…!」

『ダメです元就さん!そんな怖い顔、可愛くないですっ』

「ふふっ、ほらわらいなさい。えがおこそさいこうのけしょうですよ」

「〜〜っ!!」




椅子に深く座り、物凄い表情で私たちを睨む元就さん…改め就子ちゃん


午後の見せ場、女装コンテストに向けて謙信さんと私は彼のメイク真っ最中

流石は前年度優勝の謙信さん。メイクの腕がプロそのものだ。そしてさっきは元就さんが脱走して、見つけ出すのが大変でした




『元就さんってば元が美人さんなので。すでに女学生に紛れて見分けがつかないんです』

「先ほど…片倉や大谷に…見られた…」

「ならばもうおそれることはありませんね。どうどうとゆうしょうしてきなさい」

『かすがさんもミスコン、ほぼ優勝確定しましたからね!後で二人の写真撮りましょう!』

「それはいい、かすがにはわたくしからこえをかけましょう」

「貴様ら…!」

『だって元就さん、兄さんに優勝を公言しちゃったじゃないですか。兄さんの期待を裏切るんですか!』

「ぐっ…あれは、貴様や長曾我部が勝手に言い出し…!」

『けど否定しませんでしたっ』




そう。兄さんがミスコンと知らなかったとはいえ、元親に乗せられ優勝してみせると言ったのは元就さんだ

だからこそ彼もこうやってスカートや化粧を受け入れてるんだけど…最後のプライドがどうも邪魔するらしい




「い、今まで築いた我のイメージが…!」

『元就さん、イメージなんか気にしてたんですね』

「いがいですね」

「貴様の兄の信頼を得るにどれほど苦労したと思うておるっ!!女装コンなんぞで無駄にするなどあり得ぬっ!!」

『大丈夫ですよ…たぶん。兄さんだってそんな趣味を疑ったりしません…恐らく』




曖昧な返事を返しながらも、兄さんの人を見抜く目は確か。元就さんの猫被りがあったとしても兄さんは彼の根本を見て、そして信頼しているんだと思う




『ですから大丈夫です!女装なんかで崩れるほど兄さんと元就さんの絆は柔じゃありません!』

「信頼よりもまず我のキャラと合っておらぬっ!!」

『そこも大丈夫です!似合ってますから!可愛いは正義っ!!』

「〜〜っ!!」

「あきらめなさい…とよとみのひめになにをいおうと、しなやかにながしききいれてはくれません」

『さぁさぁ!髪飾りはどれにします?この花とか素敵じゃないですか?』

「ぐっ……!」

『……………』

「……………」

『……………』

「…………こちらにせよ」

『了解ですっ!!』

「ふふふ、おれましたね」




ちょっとぐったり気味な元就さんの後ろに回り、鏡で確認しながら髪飾りをつけていく

その隣で謙信さんがマニキュアの準備。細部まで抜かりはありませんから





「おーい、毛利の旦那…じゃないや、毛利の姫さんどんな感じ−…ぐはっ!!?」

「わざわざ言い直すでない猿っ!!」

『佐助さん、時間ギリギリまで粘るので待っててください!』

「さぁ、てをだしなさい。かわくまでふれてはなりませんよ」

「チッ……!」




様子を見にきた佐助さんの顔面に、元就さんの投げたドライヤーがクリーンヒット。痛い、絶対に痛いです

ドアの側でうずくまる佐助さん。赤くなった鼻を押さえながら顔を上げれば、彼はえっと驚いた顔になる




「って、え?アンタ毛利の旦那だよね?」

「貴様らに遊ばれておるがな…!」

「おー…さっすが。雪子と軍神の手でこんな美人さんになっちゃっ…」




カシャッ





「!?!?!?」

「っと、よしベストショットっ!!見て見て話しながらこんな写真撮れる俺様、天才じゃない?」

「消せっ!!今すぐ携帯ごと消せっ!!叩き割れっ!!」

『だから動いちゃダメですってば!』




元就さんが油断したところで佐助さんのスマホが音を立てる。あ、ズルいです元就さんのベストショット

ニヤニヤと笑いながら写真を確認する彼に、拳を握った彼はプルプル震え出す




「あっはー、この写真を悪用されたくなきゃ頑張ってコンテスト盛り上げてねー」

「貴様ぁあ…!」

「どちらにころんでも、あなたにほかのみちはないようですね」

『そして全てが終わった後、佐助さんの命が危ないですね』

「それはまたしかたのないこと…さあ、つめのさきもいろどりました」

『髪もバッチリです!後は本番を待つのみですよ元就さんっ』

「…我の人生もこれまでか」

『ちょ、そこまで追い詰められないでください』




さぁ、移動しましょうか

可愛く飾られた元就さんを会場までエスコート。今日のメインヒロインはアナタですから

諦めたのかもう抵抗しない。行きましょう、いざ決戦へ!





「最後までステージに立ててたら、敵なしだと思うんだけどね」

「それはいちり…あのものがしゅうちとぷらいどにうちかてば、いただきにのぼるにふさわしい」

「それが難しいんだよなー」

「いかにも」





20141117.
めいくあっぷ


mae tugi
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