1-2





夢を見る。

それは俺の住んでいる世界となんら変わらない世界観で、ファンタジーでもSFでもなくあまり夢って感じのしない夢だ。それでも夢なのだと確信が持てるのは、いつも目が覚めた後にむなしい思いだけが残るからだ。
その夢の中にはいつも必ず一人の少女が現れる。会話こそしたことはなかったが、廊下ですれ違うたび、街で見かけるたびに心が躍った。その夢を見るだけで起きた後の一日は元気に過ごせた。

その夢が、最近は頻繁になった。夢なのか現実なのか区別がつかなくなる、なんてことがないように必死に普段は夢を忘れようとしていた。

そりゃあ、いっそのこと現実と夢が入れ替わったら良い、とは思う。
だがどうせ夢の中の彼女は俺のことを知らない。そんな距離感なのだから現実も夢もそう変わらないのだろう。いくらこの俺が山神 東堂尽八であっても。

それでも、いつか彼女が俺だけにその笑顔を向けてくれることを願い、淡い思いを抱きながら俺は今日も眠るのだ。






見つめる。
(彼女と目があったのは錯覚ではないはずだ)




- 24 -


[*前] | [次#]

[戻る]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -