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夢を見た。

それは私の住んでいる世界となんら変わらない世界観で、ファンタジーでもSFでもなくあまり夢って感じのしない夢だった。それでも夢なのだと確信が持てるのは、現実に存在するはずのない人間がいるからだ。
好きな漫画のキャラと同じ学校に通っている。毎回毎回見る夢は設定が引き継がれており、突拍子もない場面から始まるなんてことはほとんどなかった。キャラたちと会話こそしたことはなかったが、遠くから眺められるだけで幸せだった。その夢を見るだけで起きた後の一日は元気に過ごせた。

その夢が、最近は頻繁になった。夢なのか現実なのか区別がつかなくなる、なんてことがないのが救いだがうっかり授業中に居眠りした時すらその夢を見てしまうなど重症だ。

そりゃあ、現実と夢が入れ替わったら面白い、とは思う。
だがどうせ夢の中でも私はキャラたちと何か一枚の壁を隔てたような、そんな距離感なのだから現実も夢もそう変わらない。

それでも淡い思いを抱きながら私は今日も眠るのだ。






見つめる。
(今日は初めて東堂君と目があった)




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