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3年に進級して私は金城と同じクラスになった。主将とマネージャーが同じクラスなら練習メニューも立てやすいな、と二人で話していると巻島が教室にやってきた。
「うわ、お前ら席隣同士かヨ」
「うん、ちょうど今厳しい練習メニューを二人で考えてたところなの」
「最悪っショ、それ」
「で、何か用か?」
「ん、ああ、寒咲自転車店から電話があって…」
どうやら巻島は金城に話があったようだ。
寒咲自転車店は総北自転車競技部のOBの方が経営していて、しょっちゅうお世話になっている。そのOBさんから、明日からこの学校に入る子を予定を前倒ししして入部させてほしい、と言うことらしい。
「あの人のことだから気ぃまわしたんショ」
「だろうな、部活前に連絡してみよう。わざわざすまない」
「いーってことヨ」
じゃ部活で、とひらひら手を振りながら彼は自分の教室に帰って行った。
「そんなやる気に溢れた子がいるのかー」
「中学では有名な奴だ」
中学では、という言い方をするということは高校ではまだまだ通用しないと考えているのだろうか。まだ実力を知っていないから、とも取れるが。
「気になるか?」
「うん、まあ。山に強い子だといいな」
思いをはせる私を見て、金城は穏やかに笑った。
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