お買い物

「本当、ここ足場悪い。」

本丸の外はやっぱり凸凹道で歩きづらい。

「主、足元にお気をつけください。」

へし切長谷部が前を歩いて比較的安全なところを見分けてくれてる。

「へし切長谷部もな。」

「…はい。」

賑わうところへ足を動かした。



「着きましたよ。」

「はぁ…やっとか。」

結構遠かった気がする。行きで疲れた。帰りもあそこを歩くってなると、なぁ。

「主は待っていてください。俺が買ってきます。」

「……。」

息切れしてるのに。

「さっさと終わらせよう。」

へし切長谷部の腕をひいて一緒に買い物をした。終始複雑な顔をしていた。

そうか。

へし切長谷部はまだ自由の意味をわかってないんだ。

「他に必要なものは…ないよな。」

片手に一袋ずつ計四袋の買い物をした。帰り大丈夫か、これ。

「俺が持ちます。」

一人で四つも?

「へし切長谷部、お前なぁ…」



「きゃぁああっ!」

「?!」

どこからか女の叫び声が聞こえた。

「だ、誰か!お医者様はいらっしゃいませんか?!」

胸騒ぎがした。

「…行くぞ。」

声のする方へ走る。


「あ、るじ…?…なぁ!起きろよ!」

人を必死にかき分けそこで目にしたのは。

「は…?」

…なんで


「ッ兄貴…!」

顔色が悪い兄貴が倒れていた。荷物を放り投げて兄貴の元へ駆け寄る。頭が真っ白になった。

「あんたは…」

隣にいるのは山姥切国広だ。確か…兄貴の初期刀。今にでも泣きそうな顔をしている。

「…大丈夫か?」

兄貴の肩を持って少し体を起こした。

「…ッはぁ…玲吾…?何で、ここに…」

「何も喋るな。」

俺が焦ったらダメだ。冷静になれ。

「兄貴、もしかして…薬飲んでない…?」

呼吸が乱れて、汗も。

「…え、へへ…調子が、よかったから。」

兄貴は力なく笑う。

「…ッあほ!」

腕を掴んで背中に兄貴を乗せた。

「山姥切国広。お前の本丸に案内しろ。早く!」

「わ、わかった…!」

怒鳴ってしまったとか考える余裕がない

「長谷部はどうする。」

「俺はどうすれば…!」

「んなもん俺は知らねぇ。お前の好きにしろ。自由に決めろ!」

へし切長谷部は顔を顰めた。


「ッ俺は、主に着いて行きます…!」

「わかった、荷物を持ってほしい。」

「はいっ!」

「そうと決まれば…急ぐぞ!」

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