「主には兄がいるの?」

「まぁ、いるよ。一応審神者やってる。」

今年で25歳。審神者歴5年。兄貴の夢が審神者になることだった。会うことはなくなったが電話は毎週かかってくる。

「電話したくねぇ。」

「…?」

いや、こいつらのためだ。

「かけるぞ。」

スマホで兄貴に電話をかけた。



『玲吾ッ!』

急に大きな声がした。

「?!」

「何事ですか?!」

「うるせぇ、兄貴。」

耳がキーンってなった。耳潰れる。

『どうしたんだい?!玲吾から電話なんて、初めてだよね?!何かあったのか?!事故?!金か?!金を借してほしいのか?!』

「あ、主…大丈夫なの…?」

大和守安定が怯えている。これだから電話したくなかったんだ。

「兄貴少し落ち着いてくれないか?」

俺は大和守安定の肩を抱き寄せる。彼は安心したように微笑んだ。よかった。

『ごめん…ごめんよ、玲吾…こんな兄で…』

少々めんどくさい。

「別に兄貴自体を否定したわけじゃない。ただ兄貴に相談したいことがあるんだ。」

『僕に?!ま、まさか職場でいじめられて…』


「刀を具体化させるにはどうしたらいいんだ?」

『え?』

「あ、俺短期間だけど審神者やることになったんだ。」

『えぇぇぇぇえええええええええええ?!』

うるさい。

『え?!うそ?!玲吾が?!』

パニックになっている兄貴は手が付けられないくらいうるさい。

「そんなことはどうでもいい。俺は急いでんだよ。」

『僕にとったらどうでもよくないよ…えと、なんだっけ?具体化させる方法?』

「おう。」

『どうだろうなぁ…霊力を流すしか方法はないと思うけど…』

霊力を流す…

「どうやって?」

『僕は刀持って…ひたすら念を送った。』

想像できる。兄貴は霊力が大きいと聞いたことがあるが俺はどうなんだろう。

「…そうか。ありがとう。」

『玲吾が…!ありがとうって!山姥切国広!聞いたか?!』

遠くで聞いていない、と微かに聞こえた。御愁傷様だな。誰だか知らんが。

「それだけ聞きたかったから。切るぞ。」

『ま、待って!』

「なんだ?」

『演練で会おうな!』



「会えたらね。」

一応尊敬してんだよ。

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