運ぶ

「刀は今どこにあるんだ?」

背中を摩って落ち着かせていた。

「離れ。」

泣き止んだ大和守安定は俺に身を委ねる。

「よし、行くぞ!」

「えっ」

こんのすけを頭の上に乗せて歩き出した。俺の左手は大和守安定の手で塞がっている。

「うわー…ボロいな。」

離れに着いた…けど。汚ねぇ。

「ここだけ掃除しなかったのか?」

「…うん。なんかやる気が起きなくて。」

だんだん声が小さくなって俯いてしまった。そりゃそうか。

「お前は悪くねぇよ。」

頭を撫でる。

「主…」

俺は大和守安定に少し微笑んで扉を開けた。



「すっげぇ。」

大小さまざまな刀が綺麗に並べられていた。でも埃が被っている。

「全部種類が違うんだな。」

見分けるにはどうしたらいいんだろうか。

「清光…」

大和守安定は一つの刀を手に持っていた。

「それは?」

「加州清光。ずっと前から一緒に戦ってきたんだよ。」

大事そうに抱えている。

「さ。これ全部広間に運ぶぞ!大和守安定、こんのすけ、手伝ってくれるよな?」

「…うんっ!」

「お任せくださいっ!」

明日は筋肉痛だな。



「なにこれ、重っ…?!」

すげーでかい刀が何本かありその内の一つを手に取った。すごく重い。子どもしか持ったことないから重すぎる。

「主、力無いの?」

大和守安定は他のでかい刀を軽々しく持っていた。

「え。」

なんか、恥ずかしくなってきたぞ。

「仕方ありませぬ!大太刀ですので!」

これらは大太刀と言うのか。引きずったらまずいよな…?

広間まで地面に置かないように担いだ。

「見てないで手伝ってくれてもよかっただろ。」

息切れが半端なかった。

「だって主が一つ運ぶ間に僕たち全部運び終わったんだよ?」

「わたくし頑張りました!」

ドヤ顔で言われた。

「ありがとう。」

俺は腰がやばいぞ。

「んで、こんのすけ。どうすればいいんだ?」

「わかりませぬ…」

「え。」

嘘だろ、具体化の仕方がわからない?てっきりこんのすけが教えてくれるのだと思った。

「…できないの?」

心配そうに俺を見る。

「うーん…」

こんのすけが知らないのは予想外だったが、ここに来て諦めるなんてできねぇよな。

「兄貴に聞けば何かわかるかもしれないな…」

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