私は最近、気になっていることがある。それは、島崎君の学ランからのぞく灰色のパーカーだ。
「あかり。なに、ぼーっとしてるの?」
「気になって…」
「何に?」
「島崎君ってさ、」
「え?!あかり、島崎好きなの!?」
食い気味で話す彼女の名は、ユキコ。このての話が大好きな女子だ。
「…灰色のパーカー似合うよね」
そう。
島崎君のパーカー(しかも灰色)が似合いすぎる件について、気になって仕方ない。
「へ?」
「パーカー。すごく似合ってると思わない?」
「そう?普通じゃない?」
「普通かー」
ユキコにはわからないようだ。
彼のパーカーにはなにか不思議な力があるのかもしれない。
「パーカーというより、グレーが似合うよね」
ユキコが、今度は真剣に言った。グレーが?うーん。私的には“灰色のパーカー”が似合うんだけどなー。
「なんか、島崎って地味だし」
「ユキコ、酷い」
「だってぱっとしないじゃん。だからグレーが似合うんだって」
ユキコは自信満々に定義したがあてはまりそうにもない。
「違うよ。だって島崎君は格好いいもん」
「え?やっぱり島崎のこと好きなの?!」
ユキコの馬鹿でかい声で教室が静まり返った。
せっかくのお昼休みも、いっきに違う空間に変わってしまった。
「僕は都村さんのこと、好きだけど」
島崎君の甘い声が教室に響いた。
あ、ときめいた
キミの灰色のパーカーもキミのその甘い声と優しい笑顔が。
俺に恋するそのために様提出
《灰色パーカー》
present by空