ルーク依存症なガイ
2017/07/07 07:49







「ルーク!ここにいたのか」

いつも通りの笑顔で駆け寄ってくる親友に悪い、と苦笑する。昔から、それこそ俺が何もわからない時からガイはいつも傍にいてくれた。その事に全く疑問を感じなかったのは、17で屋敷から飛び出して世界を見るまでだった。外でいつも一緒にいる俺達を見てナタリア以外の三人にそれは普通おかしいと言われて初めて"普通ではない"と知ったのだ。

「迷子にはならないでくれよ」
「ならねぇっての」

それでも髪を切る前は、自分は親善大使を任され普通なんか関係ないくらいに特別だとも思い込んでいた。それにガイに寄りかかっているのがとても楽だったのだ。盛大な思い込みでアクゼリュスを落とし、ずっと隣にいたガイの信用ですら無くしてやっと自分が甘やかされていたことに気付いた。それでもガイは昔とかわらないように俺の隣にかえってきてくれて今もこうして笑っている。俺にとってもとても嬉しかったし、旅の時だって心の支えになっていた。
けれど、最近少し行きすぎているんではないかと感じる。

「お前は昔から簡単にいなくなるからな。心配でならないよ」
「流石に慣れたバチカルじゃ迷子にもなりようがないっての」
「はは、そうか?」
「ったりめーだろ」

自分はまだ子供扱いされているのだろうか。だとしたらもう(外見的にだが)子供ではないと言いたいし、過保護なら止めて対等に見てほしい。育て親のガイにはいつまでも子供のように見えるのだろうか?母上だって優しいけど、子供にするような甘やかし方をしてくる。嫌なわけじゃない、ただ自分は成長したのだから相応な扱いがして欲しかったり。

「なぁ」
「ん?」
「お前、まだ俺が子供に見えんの?」
「ルークはまだ10才だろ?」
「こんな図体のでかい子供がいるかよ」
「まぁそれもそうだけどな。でも精神は生きた時間しか年を取れないだろう。だからまだ子供だ。」

「ところで」
「…ンだよ」
「結局何て言いたいのかね?ルーク坊っちゃんよ」
「………。甘やかしすぎってか、過保護っての?過剰なんじゃねぇの。もう主人でもないのに」
「お前が主人だってことと甘やかすのは関係ないな」
「兎に角…こう、対等に扱ってくれよ」
「これは俺の気質だから気にするなって」
「……だーっ、それじゃ解決しねぇじゃんか!」

どう考えても相手の方が一枚どころか二枚以上上手で真意を聞き出すことは難しい。そこが良いところでもあるがこんな時はやっかいだ。

「自己満足なんだ。だからいなくならないでくれよ、ルーク」
「急になんだよ…」
「急じゃあない、訊きたそうにしてるからさ。お前が勝手にいなくならないように見てないと気が気じゃないんだ」
「……気色わりぃよ、ソレ」
「そうかもな」

からから笑うガイにいつも通りを見いだして思わず溜め息をついた。ガイがおかしいのはいつものことだが、もっと狂気に近いものを感じたのだ。ヘタレだと言われたとしても、これ以上は、知らないガイと会いそうで怖かった。

「どうしたよ、変な顔して」
「べっ、つに…してねぇよ」

ガイは嘘をつくのが本当に上手い。昔は全く気付かなかったし、今もほんの少しの違和感しか感じ取れない。それ以上はわからない。昔より随分と成長したつもりだったが結局はまだ子供だからなのだろうか。




20140130




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