傷だらけの羽根
*岳人が病んでます。血とか出ます。




左手に剃刀を握る。
それを自分の右腕に当て、一気にひく。

(ゆっくりひくと痛いから。)

真っ赤な血が溢れ出ては俺の服と床を汚した。
後で拭けばいーやって思ってもう一度腕に刃をあてがったときに勢いよく扉が開いた。

「岳人っ…!」

侑士だ。見つかっちゃった。
あーあ、失敗。部室でなんかやるんじゃなかった。

「岳人、血出とる。うで出して。」

侑士の声がちょっと震えてる。
怒ってるのかな?おこられるのはやだな。
もうしないっていう約束破ったのは俺だけど。
切りたくなったもんはしょうがないじゃんか。
俺は自分の腕を隠すようにして俯いた。


「…なんで切ったん?」

「…」

「岳人。」

「…」

「岳人!」

「っ…!」

声を荒げた侑士にちょっとびっくり。肩がビクンッてなったもん。
やっぱり怒ってる。
俺の事嫌いになったかな。やだ。やだよ侑士。

こわくておもわず目を瞑ったら侑士に抱きしめられた。

「…堪忍岳人。怒ってるのとちゃうんよ?ただ心配したんや…岳人急にいなくなるから。」

「…」

「頼むから、俺の目ぇの届かへんとこ行かんといて?」

侑士が俺を抱く力が強くなる。

「切りたくなったら、好きなだけ俺の腕でも足でも切ってええ。岳人はこれ以上痛い思いせえへんでええから…。」

俺、ぜんぜん痛くないよ。
侑士のほうが痛いって顔してる。

侑士にそんなこと言わせたくないのに。そんな顔させたくないのに。


かなしくなって心臓がきゅうってなって、
さっきまで全然痛くなかったはずの腕もじくじくしてきた。

「ゆぅ、し…ごめん…」

流れた涙が床の血と混ざり合った。


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