台風の日に
外は豪雨。台風だから当たり前か。
当然部活も休みで、俺は布団の中で携帯をいじりながら雨音を聞いている。

こんな天気だからどこかに出掛けて遊ぶ事もできねーし…つまんねーの。

(あーゆうしに会いたいかも。)
なんだか急に寂しくなってきた。やっぱり昨日侑士ん家に泊まりに行けばよかった。

…ってこんな気持ちになるのも全部この雨のせいだ、クソッ。

ぐるりと布団にくるまって目を瞑った。

(とりあえず寝よ…)

しばらく布団の中でぼーっとしていると、雨音に混じって家のチャイムが聞こえた。

(面倒くさい…)

聞こえないふりをして無視を決め込むと、もう一度チャイムが鳴る。

しつこいソレに岳人は仕方なくベッドから離れ、のろのろと階段を下り玄関の扉を少し開けた。

「どちらさま…っ!?」

見上げた先にいたのは、さき程まで考えていた人物。
びしょ濡れになった忍足侑士が立っていた。

「おはよう、岳人。」

「な、なんで…」

「なんでって…岳人に会いたかったから。」

しれっと言いのける忍足に岳人は黙り込んだ。

「岳人?」

会いたかった、それだけの理由で忍足は自分に会いにきたのだ。
こんな天気の中ずぶ濡れになって。

「ばかゆーし…!風邪ひいたらどーすんだよ!」

「ひいたら、岳人が看病してくれるんやろ?」

「するか!いーからさっさと中入って体拭けよな!」

「おーきに、岳人。」

にっこり笑う忍足を見て、少しだけ頬に熱が上った気がした。
嬉しい、だけどこの気持ちがバレるのは悔しい。

どきどきと高鳴る心臓に気づかないふりをして忍足にタオルを投げつけた。



………………………


台風、嫌いです。
忍足は雨でも雪でもなんでも岳人に会いにいきそう。



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