夜空を見上げて | ナノ

≪09/18(金) 裏側≫



明彦が携帯を手に自室へ戻った様子を見送ると、順平が一番に声を上げた。


「なになに〜、実は真田サンにも彼女とかいるんスかね? 台風こわーい、今すぐ来てぇ〜ん!トカ!!」
「呆れた。低能の発言だわ……」
「そういえば、真田先輩に彼女とかっているんでしょうか? いつも囲まれている姿は見ますけど……なんだかそういうのは想像つかないっていうか」
「そこんとこ、どうなんスか先輩方?」


2年生からの視線が、3年へと向けられる。
天田やアイギス、コロマルもまた興味深そうに視線を向けていた。


「どう……と言われてもな」
「アイツみてりゃ分かんだろ。恋愛の1つや2つ、やり熟してるように見えるか?」
「……そうっスよね。毎日鍛錬鍛錬の牛丼牛丼のプロテインプロテインだし」
「順平、アンタ本当にバカにしてるでしょ」
「し、してねーって!! 桐条先輩はなんか心当たりあります? やっぱいないんスかね?」
「恋人とはまた違うが、それにほど近い人物は思い浮かぶな」
「「「えっ?!」」」


食いつきが良くなった。
美鶴の傍に座っていた真次郎が溜息を吐いて、少し責めるような瞳を美鶴へ向ける。
だが、本人は楽しそうに口元を緩めていた。


「オイ。余計な節介すんじゃねえぞ」
「まあ、偶にはいいじゃないか。大方先ほどの連絡も彼女からだろう」
「い、いるんスか…………」
「ああ! 私も分かったかも」
「私も、たぶんだけど……」
「え、え?! 誰なんだよ?! 気になる!!」
「もう。あんまり詮索したら失礼だよ?」


順平の暴走を止めよう、とゆかりは悪戯な笑みを浮かべる。
それを、あえて先輩の前で放った。


「そうそう。順平は宿題でもやってなって。知ってるんだからね、まーったく手を付けてないの!」
「いーんだよ、プリントは雨でぬれました〜って言うつもりなんだからな!」
「なに…? 私の前で堂々と不正をするとはいい度胸だ伊織」
「え、いや…そのっ…」


予想通り、鋭い眼光が突き刺さる。
先程の柔らかな微笑みとはほど遠い、シャドウを一掃する時の狩る瞳だった。


「今すぐその課題とやらを持って来い。それが終わるまで、今日は一歩も自室には戻らせないぞ」
「ワンッ!」
「コロマルが“自分も見張る”と言っているであります」
「ちょっ!!」
「はい順平、プリント」
「まッ、た、助けて!!」
「…これはこれで、良い結果?」
「ちょっと〜!!!」

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