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Origin.


 修行と修行着と好み

甘い言葉に囁かれ」設定


「お前は何も分かっていないようだな!」
「ふん、分かっていないのはどちらだ。」


どうしてこうなった。
ナマエは目の前で対峙する2人の男を見て、大きなため息を吐いた。

玄武の力はとても凄い。それは聖闘士としても、1人の男としてもだ。
ナマエはそんな彼の力や意志に強い憧憬の念を抱いていた。
だからこそ、戦いが一段落した今、彼の下で更なる鍛錬を積みたいと考えていたのだ。


「お願いします、玄武さん。どうか僕に修行をつけてもらえませんか?」
「俺は、誰かに教えられるほどできちゃいない。」
「玄武さんがそう思っていても、僕は貴方に見てほしい。お願いします!」


頭を何度も下げ、渋る玄武にひたすら懇願した。
その思いが通じたのか、ようやくにして玄武は小さく頷いたのだ。
「一度言ったからには手加減はしないぞ。」その言葉と共に。

ナマエは舞い上がった。
彼に手解きしてもらえるとは、今までなら信じられない出来事が今、実現しようとしている。

何からやるのだろう。
まずは身体を鍛え上げるために、滝修行でも行うのかな?
ナマエはわくわくした心の高鳴りを押さえられないまま、一夜を明かした。


「……えと、」
「……。」
「……。」
「……。」
「なんですか、これ。」


そして翌日。
指定された修行場に着くと、そこには既に玄武が居た。
師より遅れたことに慌てて謝罪をしようとナマエが駆け寄ると、何かを言う前に紙袋を渡されたのだ。

そして一言、「これを着ろ。」


「あの…、玄武さん。この格好って意味あるんですか?」
「やる気が上がる。」
「どっちのだ?!」


はぁぁああ……ナマエは自身の顔を覆いながら、大きなため息を吐いた。
恥ずかしい。恥ずかしすぎる。

紙袋に入っていたのは、なんとレオタードだったのだ。
それは今より前、あの星矢たちが奮闘していた時代に女聖闘士が見につけていた物のようで。
何故それを玄武が持っているのかという疑問は抱くものの、それ以上に何故自分が着なくてはならないのかと赤面せざるをえなかった。


「(で、でもこれで僕はもっと強くなれる…!)」


この羞恥心にも打ち勝つ小宇宙を持てるようになるはずだ!
ナマエは決意したように頷き、玄武と対峙する。


「お願いします、玄武さん。」
「よし、まずは柔軟体操だ。」
「へっ…?」
「体を柔らかくして、怪我のリスクを減らすぞ。」
「あ、……は、はい!」


正直、今更いるのか? と思いもする。
だが師の言うことは絶対だ。


「ッ、……!」
「意外と硬いな。もう少し頑張れ。」
「は、い!」
「……よし、いい感じだ。」
「次は何をするのですか?」
「薪割りだな。」
「……は?」


玄武は近くにあった薪を集め、それを地面にばら撒く。


「俺は少し買い物に行ってくる。それまでにそれを全て割っておけ。綺麗にだ。」
「え、あの、……行っちゃった……。」


ぽかん、とナマエは玄武の後ろ姿を見つめる。
そしてゆっくりとばら撒かれた薪に視線を移した。


「……やるか。」


自分には分からない、玄武の真意があるはずだ。
その真意が分かった時、自分は今よりももっと強くなれる。
ナマエはそう信じ、薪を1つ手にした。




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