それはまるで白昼夢のような



波の音に風の音、鳥が鳴く声にみんなの声。平和だな、冬島の気候に入ったらしく甲板では降り積もった雪でエースが何かを作っているのが見える。甲板を見下ろしながらぼーっと海を見つめる、こんなに寒いのに凍らないって本当海はすごいなあ。


「名前なにやってんだよい」

「んー特になにもしてなーい…くしゅんっ」

「んな薄着してっからだい」


確かにちょっと薄かったかも、Tシャツにパーカーはやはりまずかったか失敗失敗。上着取りに部屋戻ろっかなあ、サッチにホットミルク作ってもらおう。立ち上がろうかと思ったあたしの隣にマルコがいて肩になにか暖かいものが、あれこれマルコが着てた上着じゃん。


「いいよいいよ、マルコ寒いでしょ」

「いいから着とけよい」


確かにあったかくてとてもありがたい、が、上着を脱いだマルコは上半身裸で見てるだけで寒くてたまらない。マルコもあたしもあったかくなる方法…んんん…。普段使わない脳をフル回転させて考える、あっ思いついた。


「ねえマルコちょっと座って座って」


座ったままマルコの腕を引っ張って座ってほしいと頼む。不思議そうな顔をしてあたしの隣に座るマルコ、よしよし。んしょっと立ち上がってマルコの後ろに立つ、上着の胸元を持ち上着でマルコを包むようにがばっと抱きつく。


「なっちょっ名前!?」

「あー温い、マルコあったかいね」

「いやそういうことじゃないよい!」


そういうことってどういうことー?ぽかぽかと伝わる熱に緩む頬を直すこともなく聞いてみるも「…なんでもないよい」なんてため息が返ってきた、なぜだ。
マルコの肩に埋もれるように頬を寄せてマルコの匂いだなーなんて思いながらふああとあくびをもらす。あーこれはだめだあったかくて落ち着いて寝ちゃいそう、いっそ寝てしまおうかな。首に回した腕が外れないことを願う。平和だな、と緩んだ顔を隠すようにぎゅっとマルコの肩に頬を押し付けて目をつぶった。



((煽るんじゃねえよいこの馬鹿!!!))

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