放課後の教室で(星降香宮夜)




今日は俺が日直の日だったため隼総と西野空、神童には先に帰ってもらった。喜多と風見は生徒会で常にいない

「ふぅ........あとは日誌だけか」

この日誌さえ終わらせてしまえばあとは帰るだけ。俺は少しだけ休憩をした。腕を伸ばして外をみると夕陽の光が綺麗だった

「あれ、星降君?」
「!風見.......どうした?忘れ物か?」
「うん。実はねノート忘れちゃって取りに来たの」
「そうなのか..........ん?生徒会は終わったのか?」
「うん。なんかね今日はあまりやることがないらしくて早く上がれたんだよ」
「そうだったのか」
「うん。あ、星降君はなんで残ってるの?」
「俺は日直で残っていたんだよ」
「あ!そっか、星降君は今日が日直だったのか」
「あぁ。まぁ、あとは日誌だけだし」
「待っててあげるよ」

風見は俺の隣の席に座る

「さぁ、日誌書き終わらそう」
「あぁ」

俺は手にシャーペンを持ち日誌をつけていく。その様子をずっと見つめる風見

「........あまり見つめられると変なことが書けないんだが」
「それは残念だね、星降君」
「まさかだとは思うがそれが目的か?」
「まっさかーそんなわけないよ」
「どうだか........」

俺は苦笑しながら日誌をつけていく。そういえば、風見とこんなにたくさん話したのは初めてだ

いつもは喜多や隼総、西野空、神童がいる筈なのに。2人っきりで話すのは本当に初めてだった

でも、俺はこの時間が来るんじゃないかって考えた。風見のことは気になっていたから。それは俺だけじゃない。喜多達もそうだ

恋はまだわからないが少しでも風見のことを知りたかった

「.......るふくん......星降君!」
「!?」
「どうしたの?さっきからぼーっとしてるよ」
「あ.......いやなんでもない」
「そう?顔色悪そうだよ、熱でもあるのかな?」
「い、いや!本当になんでもなっ...........!!」

思考が読めなかった。俺は今、風見とおでこをくっつけていた。そのおかげで顔が近い

これじゃ、キスができるじゃないか!!

「ん〜熱はなさそうだね」
「..........風見」
「ん?どうしたの、星降く.......んっ!?」

俺は風見の腕を引いて離れていく顔を近づけキスをした

「ほし........ふるく.....ん」
「悪い........日誌、先生に出してくる」

俺は一言謝って教室を出た

「最悪なこと..........した」


ズルズル


「なんでキスをしたんだ.......風見に嫌われた」

俺は壁に身体を預けて崩れるようにしゃがみこんだ

_________

私はどうしていいかわからず未だに教室にいた

「星降君........」

私は彼が好きなんじゃないかと自惚れていたに違いないなど考えていた。だから片思いでいたかった

でも、今私は彼にキスをされた

「星降君.........」

私は教室を飛び出した。星降君のカバンを持って

「星降君に言わなきゃ.........」

________

「失礼しました.......」

俺はどうやって教務室にきた?さっきまで壁にへたり込むように座っていたのに

「あ、カバン.........いや、明日にしよう。明日も学校があるんだ」

ただ、風見に会いたくないだけなのかもしれない。教室に戻ってしまえばいやでも風見の顔を見てしまう

「このまま帰ろう.......」

俺は一歩ずつ歩き始めると前から走る足音が聞こえてきた

誰だなんて言わなくてもわかる。風見だった

「星降君!!」
「風見........」
「星降君に言いたいことがあるの」
「聞きたくない.......」
「お願い聞いて.........私は星降君のこと好きだよ!」
「えっ.........」

風見は息を整えながら俺の顔を真っ直ぐ見つめていた。その目はまるで弓道をしている目だった。真剣で俺はそんな目に射抜かれ好きになった

「たとえ星降君が私を嫌いだとしても私は君が好き.......っ!」


ぎゅぅ


「星降.......くん」
「ありがとう。俺も.........好きだ」
「っ.........星降君......////」

俺の背中に腕を回ししがみつくように抱きしめられ俺も同じように抱きしめた


今、俺たちは前に進みはじめたような気がした





(星降君、好きだよ//)
(俺もだ、風見//)






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