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少年と火黒。




よろしくと言ったのはいいが、これからこの男と関わることがあるのだろうか。

ふと、挨拶を交わして冬獅郎は思った。

(まぁ、怪しい奴なのは確かだな。)


一方の緑名は自分が警戒されているのに気づき、困ったような笑みを浮かべた。

「これからシロと一緒に住む人のところに連れて行くからな。」

冬獅郎はシロ、という単語が何なのかわからず、首をかしげる。

「しろ・・・・?」

「ん?あぁ、お前だよ。あだ名、あだ名。」

「あだな・・・???」

あまりにも冬獅郎がわからないという顔をしていたので
緑名は、ん?と少し驚く。

「もしかして、日本語苦手なのか・・・?まぁ、そのうち覚えるだろう。
ついて来い、この世界は子供一人では生きていけないからな。」

子供が生きていけないという意味はわからなかったが、冬獅郎はとりあえず
緑名について行くことにした。

当然、緑名との距離を1mほど開けて。



「…痛っ。」

最初に見た景色から緑名についていくと
だんだんと人通りが多くなった。

恐らく日本で言えば、商店街と言うような
親しみやすそうな店がならぶ。

そんな景色を珍しいと、きょろきょろ辺りを
見回していた。
そのため当然、自分の前から来る人に
気づかないままぶつかる。
そして先程の声に至る。


冬獅郎の声に緑名はすぐに反応し、
声をかけようと後ろを振り向く。

「大丈夫か、シロ?」

地面に尻餅をついている冬獅郎に
緑名は手を差し伸べた。

しかしやはり、それを綺麗に無視して
冬獅郎は自身の力で立ち上がって砂を手で叩く。

「お、緑名じゃねぇか。」

その時、冬獅郎には聞き覚えのない声が
横から聞こえた。

対して緑名は笑顔で声のほうを見る。

「おぉ、ちょうどよかった。」

つられて冬獅郎も声の持ち主を見た。

声の持ち主は背の高い男だった。
髪は赤、瞳は朱色、服は黒と言う何とも
不釣り合いな容姿だ。

(うわ、緑の次は…あか、か。
嫌な色だな。)

冬獅郎が警戒心剥き出しの顔で男を見ていると
それに気づいたのか男は冬獅郎を見た。

「…この子供、誰だ?」

「ん、あぁ。お前と今日から一緒に暮らす奴だよ。名前は日番谷冬獅郎。
それじゃあ、お前に預けたから俺は任務に行くわ。」

(え、ちょ、俺はこの男と暮らさないといけないのか!?)

混乱している冬獅郎を放置し、男2人は話を進める。

「ちょ、何で俺が!?」

「何でって…お前、子供が好きだろうが。
それにこれ、王の命令だから。じゃ。」

「じゃ。じゃねぇよ!!おい、待て!
…くそ、行っちまいやがった。」

男は遠くで今頃、企み笑いしていそうな緑名を思い浮かべた。

「…はぁ。おい、何だっけ…冬獅郎?」

急に呼ばれた冬獅郎は驚いて身構える。

「あぁ、そんな身構えんな。俺は火黒ってんだ。」

「かぐ、ろ?」

「そ。覚えやすいだろ?冬獅郎は…何か強そうだな。」

よくわからないが、褒められていると
感じた冬獅郎は視線を泳がす。

「別に、よくわからない。」

そんな冬獅郎を微笑ましそうに見て
火黒は手をさしだした。

「これからよろしくな。」

冬獅郎は手を出そうとしたが、
人と親しくなると危険だと言うことを思い出し、
やめた。

「…よろしく。」

その様子に火黒は少し残念そうに手を戻し、頷いた。

「おう!」




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