「それじゃあ、地獄?」
一面雪の絨毯になっている世界を見ながら少年は呟いた。
「地獄かぁ。それは少年には似合わない場所だなぁ、残念ながら。」
(死ねば天国か、地獄かに行くんじゃないのか?)
「じゃあ、ここはどこだ。」
「ここかい?ここは、霊界。
…そうだなぁ、死んでから行ける世界が4つあるんだけどな?
ひとつは少年が言っていた地獄。
それに、天国。そして、ソウルソサエティ。
…最後にここ、霊界。
霊界は選ばれた魂魄しか行く事が許されないんだ。つまり、少年は選ばれた。」
あまりの非現実的な話についていけていない少年を
見て男は、はぁ…と溜息をついた。
「まぁ、人間は地獄と天国に関しては
ある程度の知識があるんだろう?」
少年はこくり、と頷く。
「そんなところと同じだという認識で
いいさ。説明、長くなるしな。」
それでいいのか。
少年は思ったが、話せばそれだけ
親しくなると、何も返事をしなかった。
そんな少年の心境を知ってか、
知らずか、男が話かける。
「少年、まだ名を聞いてなかったな。
…俺は、緑名だ。」
そう言いながらさしだされた手を
少しの間見つめて、少年はこたえる。
「日番谷 冬獅郎。」
いつまでたっても握手しようとは
しない冬獅郎を見て、緑名は
肩を竦めて手を戻した。
「それじゃあ、改めてだがよろしくな。」
「…よろしく。」
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