01
俺は、この人を守らなくちゃいけないんだ――
絶対、絶対に。
たとえ、俺はγじゃなくても、俺の中のγが守ってくれって叫んでるんだ。
けれどあの人はいつも言う。
「命を犠牲にしてまで私を守るんじゃない!私が命を張ってファミリーを守るの!!」
ずっと言ってた。
でも、俺は
「それでも俺は、貴女を守る。」
守って見せるんだ。
それでも貴女は笑って頭をなでる。
「大丈夫、あんたを守ってやるからさ!」
そう言ってまた外を見る。
俺は、貴女が
「――好きだ。」
身分が違うのもわかってる。
結ばれないってわかってる。
けど俺は貴女が好きなんだ。
「じゃあ、あんたがファミリーを守れるくらい強くなったらもう一回言いにきな!」
そう言う彼女の笑顔は――アリアの笑顔は太陽のように眩しくて、暖かかった。
それから俺はあの言葉に囚われたように、人一倍強くなりたいからいっぱい特訓した。
それから、どんな任務でも仲間を守れるようになった。
――強くなった
けど俺の言葉は届くことはなかった。
「なんで、なんでぇっ!!!」
俺の想い人は日に日に体力が落ちていき、力も衰えていった。
けれど貴女はいつもの笑顔で俺に言った。
「強くなったな。」
認めてくれたのだった。
でも、と貴女は続けた。
「世界にはまだ、守らなければいけない人はいっぱい居る。これから生まれてくるこの子――ユニだって、守らなければいけない。だから、お前に、守ってほしい」
驚きを隠せなかった。
まるで貴女が死んでしまうような言い方だったから。
でも貴女は先を見透かすように俺に語りかけた。
ユニという子が居るとき、貴女はこの世にいないから。
だから聞かせてほしい。
今、聞かせて。
「返事を――」
見据えた先は
後一歩先の世界
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