大人の味
「何?緊張してんの?」
『.....。』

ええ、緊張してますとも。

『だって初めて男の人の車に乗るんです...。』
それに運転してる人はすっごくかっこいい大人の人。
これが落ち着いていられるわけがないじゃない。
って、どんだけ気多いんだ、私。土方先生がダメだったから原田先生って。

「そうなの?...ってか意外だよな。つきあった事はさすがにあるだろ?」
『...恥ずかしながらないです。』
「まじ?ってもまだ高校一年生だもんな。それより何が食べたい?」
『お肉!』
「了解。」
そう言い、車を走らせ着いたところはいお洒落かつ高級な雰囲気の個室のしゃぶしゃぶ屋さんだった。

慣れた対応で注文をし、さりげなくレディファーストをする先生には何人の女の人がいたんだろう、となまえはしゃぶしゃぶを先生によそいながら思う。

「...お前、本当気が利くな。土方さんも言ってたし、平助もお前をマネージャーに推薦した理由が納得だわ。部活でもすげえ重宝されてるんだってな。」
『先生こそ、その慣れた対応っぷりには驚きです。』
「お前な〜。..それより親は大丈夫なのか?門限とかあるだろうし。」
『大丈夫です!一人暮らししてるんで。』
「そうだったのか...。悪いな、嫌な事聞いて。」
『誤解してません?あたしの親は隣の県でがんがん働いてますから。』
「それならそうと早く言え。」

原田は食べ終わると煙草を吸う。
『...なんだか意外です。タバコ吸うの。』
「教師ってもんは疲れるんだわ。..それよりデザート頼むか?」
『頂いてもいいんですか?!』
「ああ、ゆっくりしていきたいしな。ん。」
なまえは原田からメニューを頂き、いちごアイスを頼んだ。

2人は食べ終わると、会計をし車に乗りこむ。
「なまえの家はどのへんだ?」
『えっと実は学校の近くなんです。正門の近くにコンビニあるじゃないですか?あそこを真っ直ぐ行くと神社があってそこの向かい側なんです。』
「そうか。なら俺の家とも割と近いな。俺は土方さんと平助、総司、斉藤...まぁ知らねえだろうが剣道部の奴らと住んでんだ。」
『へえー!なんだか楽しそうですね。一人暮らしのあたしとしては羨ましいかも。』

他愛のない話をしているといつの間にか家の前に来ていた。
『原田先生、今日はご馳走様でした。特にすごいものは作れないですけど、次はあたしの家でご馳走しますから、またいらして下さい。』
なまえはシートベルトをはずそうとするとその手を捕まれる。
『...せんせ、』
言い終わるまでになまえは原田に口を塞がれていた。
その状況にしばらく理解できずに、ただ目を開けて驚いていると目を閉じていた原田の目が合い、唇は離れる。
「悪いな。JKに手出しちまって。つーかあんまり男に簡単に家に来い、だなんて言うなよ?さ、おっさんがこれ以上先をする前に帰った帰った。」
『あ....ご、ご馳走様でした。』

なまえがマンションのロビーに入ったのを確認すると、原田は車を走り出す。
なまえとは言うと、真っ赤な顔で震えている唇を指でなぞる。

初めてのキスは煙草の味だった。


「左之、お帰り。遅かったじゃねーか。」
「ただいま...。新八、やべえ事しちまった。」
「あ?...もしかしてお前とうとう腹ませ「ちげえ!」...なら何だよ。」

「...生徒に手、出しちまった。」

fin


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