部活動開始
部活に入ってからは毎日忙しかった。
なまえが入ってから、すぐに三年生の女子の先輩は受験勉強に集中したいから、という理由で抜けてしまった。
それでも人の世話をすることやスポーツを見ることは好きだったので、部活動はとても楽しく感じていた。

「なまえ〜、これのスコアなんだけど提出するから写しといてほしいんだけど...。」
『あ、それならもう書いて提出もしておきました。それから次の練習試合の相手についても少し調べてきたんで、あとから目を通してくれたら嬉しいです!』
「お...。そこまでしてくれるとはな。本当に助かるよ。」
『それじゃあもう少しでお茶が無くなりそうなんで、作りに行ってきますねっ。』
「....部長〜、本当に素晴らしいマネをゲットしてくれましたね。」
「間違いない。気配り良し、料理上手、顏良し。何であんな子がうちの部に...。」
「聞いた話じゃ剣道部のマネの推薦も蹴ったとか。」
「そうなのか...。って何でお前は休憩してんだ!」

体育館で部活をしている運動部はマネのみょうじなまえという存在を羨ましがっていた。
何しろ仕事ができるうえに顔も可愛い。

「あれ、なまえちゃん。」
『千鶴ちゃん。お疲れ様!』
「そちらこそだよ。聞いたよ、すごいマネージャー登場なんだってね。」
『ううん、全然。まだ慣れてない仕事であたふたしてばっかだもん。それでも部員の人たちがすごく優しくて逆に助けられてもらってるんだ。』
「そうなんだ。で、気になってたんだけどそれは何?」
『えっとスポーツの後はお腹がすくし栄養としてもいい鮭おにぎりなの。さっき作ってて...。部活終わりに配るんだ。』
「すごーい!そんなに考えてるんだ...。」
『出来る限り事はしたいの。中途半端は嫌!っていうポリシーでね。ってごめんね、そろそろ戻らなくちゃ。また今度ゆっくり話そうね!』
なまえは体育館にカゴの中にたくさん入ったおにぎりを持ってかけていった。

「お、重そうだな。持つよ。」
『大森先輩、大丈夫です。それより練習に集中してくださいっ。』
「大森、だっせー。マネに怒られてやんの。」
「....岸間。」
大森は岸間に向かって思い切りサーブを打って、見事岸間の顔に命中していた。

練習が終わりそうなのを見計らって、なまえはコートの傍に片づけの準備をしはじめ、モップを5本ほど置く。
そして全部活動の練習終了のチャイムが鳴り、皆がコート抜けるとなまえはベンチに全員分のドリンクとタオルを置き、モップをかけ始める。
「なまえ、いつも言っているが別に片づけはいいぞ?俺らがやるから。」
『部長、とは言ってもすることがないんです。それにあたしも一応このコートに足を踏み入れましたから。』
なまえは笑いながら答えると、部長は「そ、そうか...」と曖昧な返事をしながらそこを去る。
耳が少し赤いのはなまえは知らない。

片づけが終わるとミーティングを5分ほどし、皆部室に戻って行く。
なまえは皆が使ったボトルやタオルを片付けると、部室におにぎりを持っていく。
『お疲れ様です。これ、差し入れなんですけどもしよかったら食べてください。』
そう言うと20人分のおにぎりが全部アッと言う間になくなってしまい、部員は美味しい美味しい言いながら食べる。
「お前は食わへんのか?」
『うん。まだ片づけ残ってるから、また明日ね。..お疲れ様です。失礼します。』
同じクラスの柿本に声をかけ、なまえは部室を出ていく。

なまえが遠くなると、部室の中ではなまえについての賞賛話でもちきりだった。

なまえはタオルを洗濯機から取り出し、室内の部活動専用の干す場所にタオルとユニフォームを洗い、ボトルを洗い終える。
『....さて、帰ろうかな。』
「まだ残ってたのか、お前。」
『ひっ...』
真っ暗な廊下から突如現れた声になまえは思わず驚く。
『って原田先生!もう、怖がらせないでくださいよ、本当!嫌い!』
「おいおい嫌いって...お前はガキか。」
『はい、ガキです。まだまだJKですもん!』
「そこ、威張るとこか?それより俺ももう仕事終わるんだわ。裏門で待ってろ、送ってく。青の四駆だから。」
『わーい!ついでにご飯奢ってくれます??』
「しゃーねーな。」
なまえはスキップで玄関に向かって行った。


裏門にいて5分ほどたつと、剣道部の集団が歩いて通り過ぎるところだった。
「お、なまえ!お前も部活帰りか?一緒に帰ろうぜ。」
『藤堂君もお疲れ様。あたしはちょっと人待ってるから...。また明日学校でね。』
剣道部の集団の中には何人か見たことある美男子と、千鶴ちゃんもいた。

しばらくすると裏門より少し離れた所で、青の四駆が止まっているのを見つけ、なまえは走り出した。

fin


prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -