14. 溝


事情を高尾から、聞いたが俺はそれを咎めなかった。

いつかは溢れそうなこの想い、は時間の問題、だと思っていたから。


なまえは俺を避けるようになった、
そしてバスケ部のマネージャーも辞めた。

高尾は何かある度に謝ってきたが、俺はこれでいい、と思った。

これ以上近くに居たら、本当に俺はなまえ依存になってしまいそうだったから。



そのまま時は過ぎ、3月。
卒業、だ。
結局、なまえと喋ることもなく半年は過ぎた。


そして、卒業式が終わり、俺はなまえの元に向かった。


「話があるのだよ。」

なまえは俺の目を見ると、黙って後ろをついてきた。

久々に目が重なり、俺はどうしようもない気持ちになった。
ああ、俺は、まだ、やっぱり好きだ。



「なまえ、俺は『ごめんなさい!』...」
彼女は泣きだした。

『緑間くんの気持ち、全く知らないでっ...私ひどいことしたっ...。本当にごめんなさい。』

俺はそのような言葉が聞きたかったのではなかった。

「...何を言っているんだなまえ、俺はお前を好き、だなんて一言も言っていないぞ。何を勘違いしているのだよ。」

俺は自分の想いに蓋をすることに決めた。


「しかも、緑間君って何だ。」

『....へ?』

「勝手に高尾が勘違いしていたのだよ、本当にあのバカは。」

『...そうなの?』

「ああ。」


『えー?!そんなん私、バカみたいじゃん!真ちゃん避けて、マネージャーやめて!』

「ああ、馬鹿なのだよ。」

『信じらんない!もうっ!』

そう言い、なまえは笑った。



俺は半年ぶりに、なまえと家に帰った。
帰り道、高尾とすれ違い、なまえは

「高尾くんのバカーっ!」と言い、追いかけて行った。

ああ、これでよかった。
元の関係に戻った。
すると後ろから声がした。




「緑間、3年間、お疲れ様。そろそろ返してもらうよ。」


「ああ。」


fin


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