事情を高尾から、聞いたが俺はそれを咎めなかった。
いつかは溢れそうなこの想い、は時間の問題、だと思っていたから。
なまえは俺を避けるようになった、
そしてバスケ部のマネージャーも辞めた。
高尾は何かある度に謝ってきたが、俺はこれでいい、と思った。
これ以上近くに居たら、本当に俺はなまえ依存になってしまいそうだったから。
そのまま時は過ぎ、3月。
卒業、だ。
結局、なまえと喋ることもなく半年は過ぎた。
そして、卒業式が終わり、俺はなまえの元に向かった。
「話があるのだよ。」
なまえは俺の目を見ると、黙って後ろをついてきた。
久々に目が重なり、俺はどうしようもない気持ちになった。
ああ、俺は、まだ、やっぱり好きだ。
「なまえ、俺は『ごめんなさい!』...」
彼女は泣きだした。
『緑間くんの気持ち、全く知らないでっ...私ひどいことしたっ...。本当にごめんなさい。』
俺はそのような言葉が聞きたかったのではなかった。
「...何を言っているんだなまえ、俺はお前を好き、だなんて一言も言っていないぞ。何を勘違いしているのだよ。」
俺は自分の想いに蓋をすることに決めた。
「しかも、緑間君って何だ。」
『....へ?』
「勝手に高尾が勘違いしていたのだよ、本当にあのバカは。」
『...そうなの?』
「ああ。」
『えー?!そんなん私、バカみたいじゃん!真ちゃん避けて、マネージャーやめて!』
「ああ、馬鹿なのだよ。」
『信じらんない!もうっ!』
そう言い、なまえは笑った。
俺は半年ぶりに、なまえと家に帰った。
帰り道、高尾とすれ違い、なまえは
「高尾くんのバカーっ!」と言い、追いかけて行った。
ああ、これでよかった。
元の関係に戻った。
すると後ろから声がした。
「緑間、3年間、お疲れ様。そろそろ返してもらうよ。」
「ああ。」
fin
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