13. 無自覚



俺はなまえは好きだが、真ちゃんといるなまえが好きでなかった。



『ねぇ!高尾君!聞いたよ!この前、真ちゃん連れて合コン行ったって!』

「だからなまえ、あれは無理矢理だったのだよ。」

『もう〜、これっきりだからね〜。』

そう言って、緑間は飲み物を買いに、屋上を離れた。



「...何でダメ、なんだ?」

『高尾君?』





俺は彼女を壁に押し付け、胸ぐらをつかんだ。


自分でもこんな低い声が出るんだ、って思うぐらいに低い声で、
「なまえってさぁ、本当に分かってないの?絶対どこかで知っているよな、真ちゃんがなまえの事、好きって事、」



俺は女の胸ぐらをつかんだのは初めてだった。

しばらくして、俺の手に彼女の涙が流れた。
なまえの顏を見ると、顏を真っ赤にして下を向いていた。

マジかよ、本当に、全く無自覚、だったのか。

それだったら俺はとんでもないことをしてしまったかもしれない。
俺は心のどこかで、なまえが気づいている、という確信を持っていた。




消え入りそうな声で彼女は言った。

『そんなの....絶対..ない..よ..』


そこに真ちゃんが戻ってきた。

「なまえ?!」


彼女は真ちゃんの横を走って通り過ぎた。




「真ちゃん、ごめん。」


fin


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