電話に出たなまえは泣いていた。
赤司とケンカしたわけでもなく、
ただ、
“寂しい”と。
聞けば、赤司は昨日、こっちに来てたらしく、今日は帰ったみたいだ。
俺は、たとえ自分がなまえの彼氏になれなくとも、彼女が泣く姿は見たくなかった。
俺は高尾達と別れ、外へ出た。
なまえはきっと、いつもの公園にいるのだろう。
公園に着くと、なまえはやっぱり、まだ泣いていた。
『...真ちゃん。どうして?』
どうして、か。分からない。
「泣いている女を放っとけるわけないのだよ。」
『..何それ、かっこいい。』
そう言い、彼女は泣きながらふにゃっと笑った。
「思いっきり泣け、」
と肩を貸した。
『うん...』
なまえの泣く声だけが公園に響く。
『...真ちゃん、女の人の匂いがする...。』
「...そうか?」
『...うん、どこ行ってたの?』
「...高尾に誘われて、ご、合コン、とやらを...///」
『真ちゃんが合コン?!』
ガバッとなまえが離れた。
「あっあぁ...でも、俺そーいう色恋に興味がないのだよ。」
『そっかぁ。』
と笑う彼女の顏が、どうしても、安堵、の表情に見えて、少しだけ期待してしまう。
『...ん、そろそろ帰ろっか。』
「ああ、そうだな。」
と言い、俺たちは手を繋いで公園を出た。
「..この方が、安心、するだろ?//」
『..うん!真ちゃん大好き〜!』
俺は例え時間が限られていようとも、今のこの時間を、すごく大事にしたい、と思った。
fin
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