実はね、

そんなこんなで私は今、キセキの世代と一緒にご飯を食べております。

えー、なんだか周りの目線を感じる。
羨ましいか。
いつでもこのポジション、代わってやるよー。
赤司様の前でご飯なんて食べれたもんじゃない。
ハンバーグの中のチーズが冷めて、すっかり固くなっている。

「お前、食べるの遅いなー。」
とラーメン二杯目の青峰っち。

『ああ、ちょっと体調悪くて。食べる?』

「まじか!やった!お前いい奴だな!」
そんなんでいい奴って言ってるお前の将来が心配だよ。

「そんなぶりっ子して少食ぶったって、俺らは何も思わないよー。」
と、紫原くん。

けっこー彼ブラックだな。
いつもただうまい棒、食べてるだけじゃなかったんだな。

「紫原。」
と緑間っちが制する。

『あーまぁいいよ。そう思われたって仕方ないし。急に現れた女、と快くご飯食べようと思えるのなんてそこのアホ峰と黄瀬くんぐらいだろ。』

平常心ぶってそう言ったものの、心の中は涙、涙。
むっくんにそんな事言われると思わなかったーあああー。悲しい。

「てめっ、今、アホ峰って『だってそうじゃん』..っく。」

あーもう青峰っち超可愛い!抱きしめたい!
喋ってることと心の中は真逆ななまえちゃん。

そして、私は思いついたように、スカートの中からチョコを取り出し、むっくんにあげた。

「くれるのー?!」

さっきのブラックむっくんはどこいった。
まぁ、餌づけしてやろう。

「ありがとうー!さっきはひどい事言ってごめんねー!」
と言い、私に抱きついてきた。

私は思考停止した。
むっくんの匂いが直にくる。そして顔が近い近い。
えーん、美月ー、今私は死ねるかもしれない。

『ちょっ苦しいっ..(苦しいけど離さないで)』

「ほらほら、なまえっちが苦しんでるッスよー。」

「敦、離してやれ。」

「あーごめんごめん。」


はー苦しかったけど幸せ。
何気に初めて異性から抱きしめられたぜ。
男の子独特の香りに期待したが、あいにくむっくんはお菓子の甘い香りしかしなかった。

「ねぇ、なまえさぁ、マネージャー、興味ない?」

はいはい来た来た、赤司様から直接的な勧誘。薄々感づいてはいた。
このまま仲良くなると、人が足りてないバスケ部のマネージャーに勧誘されるという事を。

私はどうする?!

それは勿論、


『ないね。』

「そう言うと思ったよ。けどこれは命令だよ。」

うん、想像していたけどさ!
というか赤司様から初めて命が下った!幸せ!

「なまえっち!いいじゃん!やりましょー!」

「俺も賛成なのだよ。」

「何で嫌なんだ?」





『なんか疲れそうだし。』
(毎日妄想をし続けて頭が疲れそう、の意)

チラ、と黒子っちを見ると、私を見つめていた。

ああ、やっぱりバレているのだろう。




なんだか断れそうもない。

ここまでか。

言おう。
どうせ言ったところで、関わりはなくなると思うが、まぁそれはいい。
以前に戻るだけ、だ。



『あのね、私、




隠れミーハーなんだよね。』


fin


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