尸魂界の生活
外からの眩しい光で起きた朝。

『んぅ....。』
目を開け、手元にあった時計を見ると顔が青くなった。

『遅刻じゃん...。』と布団から飛び出ると、自室の部屋の縁側に華山家当主の姿があった。
しかものほほん、とお茶を飲んでいる。

『お父さん!何でここにいるの?!ってかいたんなら起こしてよ!今日、山じいから呼ばれてるの知ってたでしょー?!』

と体を揺らすが、お父さんはずっとほっほっほ、と笑っているだけだ。

「幸せそうに寝てたからねー。」とお茶をすするお父さん。

ちなみに貴族だったら白夜みたいに堅苦しく、〜様とか言わなくちゃいけないみたいだけど、私のお父さんは理想の家族を目指してるらしく敬語とかナシ、の家みたいです。
こんなお父さんだけど、一応当主だし、やる時はやるし、誇らしいお父さんだ。

とりあえず構ってられない、と私は適当に化粧をし、羽織を着て一番隊舎に瞬歩で向かった。


恐る恐る隊首室の扉を開けるとご立腹の山じいがいた。

「お主!!何度目じゃ!!」

『.....あはは。』

「理由を聞こうかの。まぁ大方予想はついておる。寝坊じゃろ?」

『まぁ...。』

はぁー、と盛大なため息を吐いた山じぃが口を開いた。

「とりあえず上からの任務を言い渡されたのじゃ。明日から現世滞在任務、じゃ。」

『また急な〜。今月何度目だと思ってるのさー。四度目だよ、四度目!』

「人手が足りてなくてのう。」

『嘘つけ、さっき来る時にギンが屋根で寝てたわ!』

「....ふむ。とりあえずこれが詳しく書いたものじゃ。よく目を通し、明日出発じゃからな。明日は遅刻せんように。」

『はい...。』

「もう一度言う、明日は遅刻せんように、じゃ。」

『分かったってー!二度も言わないでよ!』
私は隊首室を出て、紙に目を通しながら出ると前からよく知る霊圧が現れた。

「なまえ。また現世任務、か。」

『おはよう、白夜。そうなんだよねー。しかも今回のはいつ帰れるか未定なんだってー。』
とペラと白夜に紙を渡す。

「.....ふむ。見るところによると少し危険そうだ。...いつも言うが、何かあったら私を頼ってくれ。」

『白夜は心配性だね、大丈夫だよ。こう見えて隊長なんだから!』
となまえは屋根に飛び乗った。

「....どこ行くのだ?」

『なーいしょ!』



そしてたどり着いたのは十番隊の前だった。
『らーんぎく!』

「あら、なまえ。どうしたの?あなたの副隊長ならここにいるわよ。」

『またサボりかあいつー。』

「誰がサボり、ですか?」

『あ、光。そんなことよりねー乱菊。今日、お花見でもしない?明日から現世任務でいないから思い切り飲んでおきたくて。』

「あら!いいわよ!じゃあ女性死神協会はもちろん、恋次たちも呼ぶわね!6時にこじこの前で待ち合わせね!」

『うん!楽しみにしてるね。』

「あの....僕は?」

『光、明日から私と現世任務だよ?』

「じゃあ隊長も....。」

『あのねー、私はお酒強いけど光は超がつくほど弱い!いつも二日酔いに悩んでるじゃん。だからだめだよ?』

「.....でも、」

第三者の乱菊から見て、二人の言い合いを見るのは楽しい。
光は隊長以外ではドSなのに隊長の前では可愛い男、だ。

「松本ー!!さっさと戻ってこい!」と奥で日番谷隊長の声がしたので私は二人に、またね、とだけ言い隊首室に戻った。

そしてくるり、と後ろを振り向くと一角と弓親と剣八と...剣八の上にやちるがいた。

『びっくりした!いや、霊圧で感じてたけども。まさかそんな近くにいるとは思わなかったよー』

「驚いた顏も美しい、いや、可愛いね。」

「それより聞いたぜ、今夜花見だってな。ここ4人、もちろん参加で。」

『わーい!久々に皆と飲むね!...剣八はなんか眠そうだね。』

「うん!剣ちゃんはねー!現世の任務でさっき帰ってきたの!」

「おまえもだろうが....まぁやちるは見てるだけだったけどな。」
と口を大きく開ける。

『あんま無理しないでね?』

「なまえっちに着いて、やちるもいこっかなー。現世任務!」

「馬鹿言ってんじゃねーよ、仮にもお前は副隊長だ。」
と言うと、うるさーい、と一角の頭に唾を吐き、二人はそのまま鬼ごっこをしていった。

『剣八も問題児だけど、隊員ももっと問題児だね。』と笑うと、眠そうな顔で「ああ、」と返ってきた。

「それじゃあ体調を自室に送るから、また今夜ね。」と綺麗な笑みを浮かべ、弓親と剣八は帰って行った。

それを見届け今度こそここを去ろうとすると、隅にいた元気のない光に声をかけた。

「........。」

『ひーかるー。そんなに落ち込まないでしょ。明日からはずっと一緒じゃん。今夜だけは我慢しよ、ね?』

それでもうう、と涙を目にためる。
私は光の手を取り、歩き出すと後ろでグスグス泣きながらだまって着いてくる。

『そんなんじゃいつまでたっても隊長離れ、出来ないよー?』

「......でも、」

「あら、なまえちゃんと光くんやん。泣いてはるの?」
市丸に遭遇し、彼は光の顔を覗き込む。

「泣いてないですから。」
光は目を繋がれていない手で強くこすり、市丸をキッと睨む。

「おー怖。それより乱菊から聞いたんやけど、今日花見やって?勿論僕も参加するしなー。お酌してくれるやろ?」

『...情報早いねー。はいはい。ってか毎度されてる。たまにはしてよねー。』

「あはは、ほな、イヅルの怒鳴り声が響く5秒前やし消えるなー。」と言い、瞬歩でその場を去った市丸。
ちょうど5秒後にイヅルの怒声が廊下に響いた。


そして隊舎につくと、さっきまでは泣いていた光も副隊長の顔になった。
そして隊員全員を地獄蝶で呼び出した通り、すでに全員が隊首室に集まっていた。

『おはよう皆。さっそくだけど先ほど知らせたように明日から私と副隊長は現世任務に出張する。....残りの皆はここに残ってもらう。君たちならここを十分守っていけるはずだと私は信じている。』
と言うと、はい!と威勢のいい返事が返ってきた。


そのまま零番隊は解散し、私と光は明日のために非番をもらっているのでそれぞれに戻った。
夕方まで昼寝し、約束の時刻になるころに浴衣に袖を通し、家を出た。
十番隊舎の前にいると、10、20、もっといる。

なまえ隊長ーっ、と恋次や修平の後輩の声が聞こえ、私は顔を緩ませた。



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