彼女の強さ
初めての見回りで早速、銀時と会った。

「相変わらずフラフラしてんな、銀さん。」

「ああ?...っつーかなまえ、その恰好何だ?コスプレか?」

『あ、言ってなかったっけ。少しの間だけ、新選組に動員されてんの。』

「ふーん、にしても似合わねーな。」

『分かってます。』

銀さんと別れるてすぐ、事件が起こった。
どうやらひったくりならしい。
他の隊士たちが追いかけて行ったもんで、私はその場に取り残される。

んー、帰る道もわからないしこの場に居ようか。と首をひねっていたら声をかけられた。

「そんな所に立っていたら邪魔だよ。」

『あ、すみませ....』
なんだか神楽に似た男がいる。
にしてもこの笑った顔には裏があるみたいで、少し悪寒がする。

「君、女の子だよね?どー見ても。」

『あ、まぁ..。』

「新選組に女隊士なんていたんだね。ま、あの隊は弱いし、今は女の手も借りるしかないってとこかな。変な生き物も作るし。」

羅刹の事か....?
私は顔を崩さず、大変なんです。とだけ言った。

「でもさ.....君、強そうだね。」

『....まぁそこそこに。』

「相手してよ、」と言い終わるまでに男の拳が私の顔に正面に向かってきたので、私はそれを避けると、男はそれを予想してか、持っていた大きな傘を思い切り私のお腹部分に振った。
私はそれにも反応し、後ろに飛んで地面にぶつかる直前で体を反転させた。

『ちょ、あれ直に受けてたら私、死んでたよ。』

「知ってるよ。それでも上手に避けたね。」

『まーね。』と言い、私は思い切り地面を蹴り、奴の胸元にむかって拳を作り直前で止めた。

「.....早い、ね。さすがの僕でも驚いたよ。にしても何で止めたの?君なら僕を殺せるでしょ。」

『無駄な殺傷はしない主義なんで。てか、あなたって妹いたりする?』

「...うん。神楽と知り合い?僕の名前は神威だよ。」

『そう、私はなまえ。...またどこかで、』と言い私はその場を去った。


そして私は人目につかないところにつき、軽く飛んだ。
上から見ると屯所がどこにいるのかよく見える。
真選組の方はいつものように、山崎が土方さんが追いかけられているのが見えた。
私は新選組の方向に向かって飛び、近くまで来て降りた。

屯所の門をくぐると土方さんと斉藤さんと会った。

「ああ?左之たちは?もう巡察終ったのか。」

『いえ、なんかはぐれちゃったんで帰ってきました。』

と言うと土方さんははぁ、とため息をついた。

「もういい。なら斉藤、お前はこいつをつれて稽古の練習でもしてやれ。」

「はい。」と言いついて来いと言わんばかりに彼は私の目を見る。
私が黙ってついていくと、道場には藤堂平助と永倉さんがいた。

「お!なまえも練習するのか。」

『はい。他の隊士たちは?』

「あいつらいつも、稽古にでねーんだよ。」と藤堂君が呟いた。

「なぁ!なまえ、俺の相手してくれや!」
と永倉さんが私に木刀を投げ渡した。

『いいですけど...、私いつも短剣なんでこれちょっと使いにくいです。永倉さんは木刀でいいですが私は体術でいいですか?』

「お前本気で言ってんの?しんぱっつぁんはつえーぞ。」

『はぁ、本気です。』

「そーか、まぁとりあえず何でもいい。かかってこい!」
と永倉さんは笑った。

私はその言葉を合図に一瞬で永倉さんの懐に入り、手加減してお腹を殴るが、永倉さんは予想以上に吹き飛んでしまった。

ドゴッと嫌な音がした。
永倉さんはどうやら道場の壁にめり込んでしまった。


『あ、』

そして道場には沈黙が流れる。
永倉さんは気絶している。

「....おまっ、つえーな....。」

「...次は俺とやれ、」と斉藤君が言ったので私は再び構える。
今の音にやじうまが集まってきた。
その中には土方さんも現れ、沖田、そして巡察から帰ってきたのか左之さんもいる。

私は斉藤君に身構える。
すると、斉藤君は私に正面から向かってきたがあまりに遅く、スローモーションに見え、難なく攻撃を避けながら斉藤君の方に両手を置き、体を浮かせ、一回転し唖然とする斉藤君の隙をつき、後ろ向きで蹴ると斉藤君は倒れ、私は斉藤君に跨り、持っていた短剣を斉藤君の顔の横につきつけた。

『終わり。』

「...くっ、」


すると拍手と歓声がわいた。

しばらくすると沖田が斉藤君に跨ってた私の腕を引き、立たせた。

「次は僕が相手だよ。」

『お安い御用、』私は沖田の嫌がらせをここで返す時が来たと思い、黒い笑みを浮かべた。
びっくりした事に、沖田は真剣でかかってきやがった。
私も先ほど床に刺した短剣を抜き、沖田の攻撃を受けた。

「はや、いね...。」と沖田は刀にぐっと力を入れるが私にとっては弱く感じる。
毎日アラジンの友達のウーゴ君と稽古をしていたので、力はある。

そして沖田の剣をはじき、私は強く地面を蹴り、沖田の足をひっかけようとしたが、沖田はそれを苦し紛れに避け、私に向かって真剣を思い切り投げてきた。
私は素手で前から向かってくる真剣を掴み、もう片方の短剣を持っていた手から短剣を離し、沖田の顏を殴ると沖田は「くっ、」と息をもらし、私はさらに倒れた沖田の体を足で踏みつける。
そして私は沖田の真剣を沖田に向かって投げた。
すると彼は慌てて、手で受けようとしたが間に合わなそうだったので、私は沖田を踏みつけていない足でその足で、沖田に刺さる直前で剣を蹴った。

カラン.....

みんなの息をのむ男が響いた。


「....おい!そこまでする必要ねーだろ!総司が死んでいたかもしれねー!」と藤堂が吠えた。

「.....少しやりすぎだ。」土方さんの顏はいつもに増して凄みが増している。

『いやいや、まず最初に真剣使ってきたのはこのアホだからね。真剣使うならそれ相応の構え、が必要じゃない?』

というと、下で沖田が笑った。

「あははっ...確かに。」

私が殴ったからか沖田の鼻から血が出ている。

『ざまーみろ、』と私は舌を出した。



その後、私は土方さんの部屋に呼び出された。

「お前、強いな...。」

『そうですね。弱い、なんて言ってないはずですけどね。』

「お前の腕を見込んで重要任務を渡すが、いいか。」

『はい。』
私は来た、と自然と姿勢を正す。

「実は....」と土方さんは羅刹の存在を話し出した。
どうやら決まりにはむかったものには切腹か、変若水とやらを飲み羅刹になるという選択をもちかけているらしい。
羅刹になると、昼の活動は困難で夜しか動けないらしい、発作と言うものがあり血を求めるらしい。
そして最近は隊士不足で管理に手が回らず、すぐに逃げ出してしまうらしい。

『何でそんな生き物、作ったんですか?』

「....実はこれは幕府からの命令なんだ。」

『はぁ?』

「お上がよ、この開発をやれと俺たちに任せてきたんだ。...最初はな一人、二人だったがどんどん増えやがってよ。開発どころか最初の羅刹となんも進展は無しだ。」

『.......。』

上からの命令じゃ仕方ないかもしれない。
幕府が後ろにつかなかったら、新選組の隊士は路頭に迷うことになる。

『....で、私に羅刹の管理、ですか。』

「ああ。」

『いいですよ。』

「....本当か。それには昼夜逆転になるが、」

『いいです。それより町の人たちを助ける方が最善ですからね。』と言うと悪いな...と土方さんは苦虫を踏みつぶしたような顔をした。

fin



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