そんなこんなで私は今日は休んで明日から、という事になった。
私はどうしたものか、と頭をひねった。
羅刹の存在がある限り、開発を進めなきゃいけない。
かといって羅刹を全滅しても、研究は出来ない、それによってさらに羅刹になる犠牲者も増える。
外を見るともう夜だ。
私は幻の呪文を唱え、私と同じ顔をした私に、大人しく寝ているように言って部屋を出た。
私どこに行くかと言うと、真選組、だ。
久々に真選組の前に立つと、懐かしい匂いがした。
「どうした。」
と後ろから声をかけられた。
パトカーから出てきた土方さんはおそらく夜の巡察終わりなのだろう。
『土方さん、報告に。』
「そうか。」と言い、パトカーを近くにいた隊士に戻すようにいい、私は土方さんの後をついていった。
久しぶりに土方さんの部屋に入ると、相変わらずタバコのにおいがする。
『ねー土方さん、あ、トッシー。色々掴んだから、山崎はもういいかも。』
「なんだトッシーって。....何だ。」
『土方さんって二人いるから紛らわしくて。』
「....それなら十四朗でいい。」
『十四朗、羅刹について聞いてきたよ。』
と言い、私は聞いてきたことをすべて話した。
するとすごく驚いていた。
『.....どうするべきだと思う?』
「幕府が絡んでんじゃ、何もできねーなぁ...。」
『だよねえ....。』
「とりあえず...しばらく様子見、だな。」
『しかないか...。』と項垂れる。
「まぁそんな気を落とすな。...とりあえず総悟も会いたがっていたから会いに行ってやれ。」
『うん、』と言い私は立ち上がると腕を優しく掴まれ、耳の傍で無理すんなよ、と声をかけられた。
そして私の腕を話し、タバコに火をつけた。
『土方さんこそ。』
その後、総悟に会いに行ったが彼は寝ていたので私は静かに部屋を出て、屯所を出た。
しばらく歩き、私は地面を軽く蹴り、空を軽く飛んだ。
そして手を広げ、ルフの声を聴いた。
私は切羽詰まった時に、いつもこうすると心が少し浄化される。
そしてある程度、心が軽くなり帰ろうと新選組の屯所を探していると、真下にいる男と目があった。
私は奴の記憶をなくそうと地面に降りた。
男の顔を見るとどこかで見たことがある、と記憶をたどると指名手配されている攘夷志士の“高杉晋介”だということが分かった。
「...楽しそうなこと、してたな。あの光はなんだ?」
ルフが見えるこの男は何者だろうか。
どちらにしろ、ただの人間ではない気がする。
「何もんだ、てめぇ。」とドスを聞いた声で聞くが、彼の目に戦意は見えない。
『何者でしょうね、高杉君。』
「...クッ。俺の事知ってんのか。てめぇ、前に真選組の制服着てたよなぁ。で、今は新選組、ね。あのワケ分からねぇ生き物に関係してんのか?」
『知ってるんだ...。』
「あたりめぇだ。あんだけ夜中に騒がれちゃあな。...俺らも、春雨の連中も探ってるところだ。」
『そんなに...。』春雨ってのは一度だけ聞いたことがある。
宇宙海賊とかなんとか。
アリババのような義賊ではない事は分かるが、まぁとりあえず悪者だろう。
「で、あの生き物について何か知ってんだろう。吐け。」
私は考えた。
高杉と言ったら春雨の連中も一目置いているであろう。
こいつを味方にすると、頭もなかなか切れそうだ、と感じ深い事まで言わずに、浅い部分まで話した。
「.....ほぉ。幕府の連中はアホな事でも考えてんだな。」
『え、何で幕府の連中って分かったの。私、言ってないよね?』
「ああ、最近幕府の連中がやたら変な動きしてるからな。すぐに分かる。」
『さすがー。』
「....俺にとっちゃ新選組がいなくなろうとどうなろうと、どうでもいいんだがな。でもてめぇは違うんだろ?」
『まー、私もどっちでもいいっちゃいいんだけど...ね。出来れば新選組が潰れないでほしいかも。』
「..ふん。俺と協力するっつーんならなんとかしてやるぜ。」
『え、まじ?』
「ああ。その代わり、俺にお前の不思議なその力の秘密を教えろ。」
『そう来たか...。』
「期限は1週間だな。俺はしばらく江戸を離れる、また返事、聞きに来るぜ。」と言い、高杉は夜の闇に消えた。
私は再び空を飛び屯所に帰りながら考えた。
どうするべきか。
fin