新選組入隊

次の日の朝、私は近藤さんの部屋に呼ばれた。

「トシから聞いたぞ。少しの間、新選組の方に行く、と。」

『はい。』

「ふむ、まぁ理由は分からんが大方、何か目的があって行くのだろう。俺は止めんがさすがにいくらなまえちゃんであっても女の子一人だと不安だからな、ザキも連れて行くといい。」

『そんな、別に私は「大丈夫だ。ザキもただなまえちゃんを護るだけに行くわけではないよ。監察としていくのだからな。」....近藤さん、』

ニッと笑う近藤さんにいつものゴリラのような部分は見えなくて。

「あれ、なまえちゃん、今確実に失礼な事考えたよね。」

そして私は立ち上がり、軽く挨拶をしてその部屋を出た。



すると部屋を出た瞬間に誰かに足を引っかけられて顔から転んだ。

「聞いてませんでさァ。一体どーゆう事でィ。あんな野蛮な輩な所に行くなんて。」

『や、君たちの方が十分野蛮だと思うんだけど、』

私は起き上がり、総悟の顏を見るとめちゃくちゃ黒い笑みを浮かべていた。
ジュダルでもこんな顏しねーぞ。

「ま、決まった事みたいですし、止めねーがあんまり無茶しないでくだせェ。」

『わーったわーった。』

「つーか何でザキなんでィ。」

『だって山崎の顏って向こうには知られてないんでしょ?それに山崎は真選組の隊士としてじゃなくて、一人の武士っていう設定で行くらしいじゃん?ああ見えても山崎ってちゃんと仕事してるよね。どっかの誰かさんと違って。』

「うるせーや。....気を付けて行って来てくだせェ。」

『ありがとー。』


そして真選組はもう手配をしたらしく、私は真選組を出て、新選組の屯所に夕暮れ時に向かった。
山崎は1週間後ぐらいに入隊する予定らしい。

門の前に立つと、やっぱり真選組の屯所とは違い、異様な雰囲気をかもしだしている。
すると前方から見たことのある左之さんとやらと、ガタイのデカい男がやってきた。

「お!待ってたぜぇ!なまえちゃん。」

『こんにちは。この度はよろしくお願いいたします。』

「俺は永倉新八だ。よろしくな!」
新八ってあのメガネと被るなー。
って言うかこの世界に似たような名前多すぎて訳が分からん。

『よろしくお願いします、永倉さん。』

「何、別にこれからしばらくコッチの隊士なんだから名前でいーぜ!」

『や、知り合いに新八ってのがいるんで紛らわしいので。』

「そ、そーか?」

「振られてやんのー。ま、とりあえずついて来い。近藤さんの所に行くぞ。」

『はい。』

そして部屋に連れてこられた。
私は不思議に思ったのは、こっちの新選組はテレビ、携帯などと言った近代的な物は使ってないらしい。
交通手段も歩き、と聞き私は大変そうだ、と感じた。

部屋の中には幹部らしき人物達と、女の子、がいる。


『あれ、女の子いるんですね。』

「ああ。っても隊士でなくて小姓だからな。」

『そうなんですか。』
小姓って何か分からず、私はとりあえず頷いておいた。

「いや、最初は隊士っていうから何人かの男かと思ったが、まさか女の子が来てくれるとは。」と近藤勇さんが笑った。

すると以前見た、メガネの山南さんとやらが口を開いた。
「あなた一人って事はものすごくお強いのか、それても隊士を寄こしたくなくて仕方なく即戦力のない貴方を寄こしてきた、のどちらかですね。」と嫌味を言った。

「山南さん、」と土方さんが止めた。

「とりあえず、ここ新選組にいるからには決まりも勿論、守ってもらう。...とりあえず、男装しろ。」

『は?』

「新選組に女が居ると分かっちゃ、弱みになるからな。」と永倉が付け加えた。

確かにそこにいる女の子も男装しているし、着たくなくても着なくちゃいけないらしい。
私は軽くため息をつき、頷いた。
真選組での待遇の良さに私はありがたさを感じた。

「とりあえず部屋は余ってるからな。....最後に、あっち側にはあまり行くな。特に夜はな。....総司、連れて行け。」

「はいはい。」と沖田総司が私の腕を掴み、部屋を出た。
あんな意味深に言われたらふつう、気になるよね。ま、おそらく羅刹だろう。

「...聞いてるの?」

『へ、聞いてなかった。』

「はぁ、だから!初めて会った時にどこで会ったか思い出したよ。君、そっちの真選組の土方サンの女、とか?」

『それはない。』

「ふぅん..。まぁいいけどさ、君が何で新選組に来たのかは知らないけどさ、何かしたら殺すよ。ちなみに君の部屋は僕の部屋の隣だからね、すぐ分かるから。」
と私の腕を乱暴に離し、一つの部屋に放り投げた。
私はその反動で倒れそうになったが、体を反転させ免れた。

「ふぅん、腕はあるみたいだね。...そこの袴着てね。」とピシャッと襖を閉めた。

おいおい、ここの新選組、まじで何なの。
早く山崎来いよー。
早速だけど帰りたい。

でも私には私のやらなきゃならないことがある。
それはここの羅刹増加を減らすこと、羅刹が街に逃げ出さないようにすること、そして羅刹を作った理由を知ること、だ。

そのためには新選組の信頼を得て、懐に入ることだ。

とりあえず私は出された袴を着ようとしたが分からないので、襖を開け、廊下を覗くとちょうどいいところに先ほどの女の子がいて、私は手招きした。

「どうなされたんですか?」

『袴の着方分からないんだよね、教えてくれる?』

「はいっ!」と彼女は笑顔で受け入れてくれた。
久々に可愛い子をみて、私の心は癒される。
神楽に会いたくなってきいた。

そして話すと彼女の名前は千鶴、らしい。
どうやらお父さんを探していて、屯所に置かせてもらっているらしい。
それ以外の訳ありの理由でいることは分かったが、それ以上は追及しなかった。

そして着つけてもらい自分を鏡で眺めたが、似合わなさにため息をついた。
千鶴ちゃんも苦笑だ。
すると左之さんがやってきた。

「お、着たか。....なんつーか、顔が完全に女だから似合わねーな...。」

『でしょ?』

「とりあえずこれは羽織だ。今から昼の巡察に向かうからなまえも来い。」

『はーい。』と私は浅葱色の羽織を羽織り、部屋を出た。
千鶴ちゃんは頑張って!と何か楽しそうだ。

そしてすでに門の前にいる隊士たちの前に立った。
1、2、...私と左之を入れて5人だ。
真選組では大体、2人一組が10組ほどに分かれて見回りをしているので、その少なさがよく分かる。

つーか5人で見回りとか効率悪くね?
しかも左之さん以外の隊士がめっさ私の事見る。

「ああ、言ってなかったな。こいつは今日から真選組の隊士から派遣された奴で、なまえだ。よろしくしてやってくれ。」
と言うと“真選組”という言葉に反応して嫌な顔をした。

左之さんもそれを感じとってか行くぞ、と言い、屯所を出た。

fin




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