私は土方さんから預かった携帯、というもので土方さんに連絡した。
万事屋で晩ご飯食べて帰る、と打ったら光の速さで返ってきた。
“気を付けて帰ってこい。”の一言だ。
そして万事屋で晩御飯を食べた。というか私が作ることになった。
だてに元いたところで、一人で旅をしていたもんで料理は出来た。
外はすでにもう暗くなっていた。
『もう帰るね。』
「ああ、送って行くわ。」
『大丈夫大丈夫、』
「何が大丈夫、だよ。銀さんが女の子を夜に一人で帰らせるなんてことはしねーよ。」
銀時が強いという事は分かっているが、もしも何か起こった時に事件が起きては巻き込むので私はかたくなに断ろうとしたが、無理だった。
それに帰ろうと思えば、飛んで帰れるのに....。
そして銀時の原付とやらに乗る。
この世の中には不思議な乗り物が多くある。
私は銀時に抱きつき、風を感じていたが銀時の下ネタ発言に銀時の頭をヘルメット越しに軽く殴った。
そして角を曲がった瞬間だった。
何かが飛んできたので、私は原付から飛びおり、その何かを自分の短剣で受け止めた。
おちたものを見ると、これまた自分のとは違った短剣だ。
「おい、どうしたんだ。つーか急に原付から降りるとか『静かに。』....。」
そして短剣が飛んできた暗闇の中に目をやると銀髪の侍が出てきた。
「ぎ、んぱつ..」と銀時が呟いた。
そして私を見るなり、その侍は私に襲いかかってきた。
「なまえ!」
私はとっさにしゃがみ、奴の胸元に短剣を突き刺した。
『あ、抜けない。』
そして胸にささった短剣がぬけなくなったので私は得意の体術でなんとかしようとしたが、奴の動きはなかなかの素早さだったので足に隠していた杖をとりだした。
そして杖を電柱に向け、電気を集めそれを奴に向かって放った。
すると奴に直に電気がいき、動かなくなったがまだ生きているだろう。
私は寝転ぶ奴の腹に思い切り足で踏み、短剣を抜き、奴の首に向かって杖でクイと横に動かすと、体と首が離れた。
『首を斬ることしか殺す手段はないのか?』
と奴の死体を足で転がす。
「お、おい....。」
『あ、嫌な物見せたよね。』
銀時は私に向かって嫌悪の目を向ける。
そりゃそうか、突然向かってきた人間を殺す、なんて。
せめて寸止めだから。
『こいつはね、どうやら新選組が編み出した開発物ならしいーよ。無差別に人を殺すみたい。だよね?』
と私は先ほどこの死体が出てきたところの暗闇に声をかけると、新選組の土方さんとやらと沖田君が現れた。
「君、強いね。」
「さっきの電気のやつ、どうやってしたの?」
『それよりこっちの質問にも答えてよ。あれは何者?』
「見られたからには仕方ねぇな..。あれは羅刹.....。鬼、だ。それも不死に近い。」
『鬼?っていってもあれは人間から作ってるんでしょ?』
「.....ああ。」
『この前の時は血をくれ、とか言ってたけど人間の血を欲しがるの?』
「......ああ。夜にだけ、動く。」
『ふぅん...。つーかさ、逃げ出しすぎじゃない?』
「羅刹の数が多すぎてな、俺らだけじゃどうにもならねぇ...。」
なるほど、隊士増員にはそういう理由があったのか。
私は首をひねった。
「土方さん、話しすぎですよ。まずはその子についてどう処分...」
私はその二人を杖で気絶させ、記憶を消す呪文を唱えた。
処分ってことはつまり知られたら処分、っていう事なんだろう。
それからしばらくして銀時に私の存在をすべて話し、あの羅刹というものについても話した。
彼は納得してくれたが、やはり新選組のやり方にはどうも納得がいかないらしい。
私はもう魔法が使えることを話したので、飛んで屯所まで帰る、といい銀時をその場で見送った。
そしてターバンで土方と沖田を乗せ、新選組の屯所に向かい二人を屯所の中の庭に寝かせておいた。
辺りを見回すと、夜にしては真選組と違い、とても静かで不気味さを感じるし、何より黒いルフが多くある。
きっとこれがその“羅刹”というものだろう。
私はとりあえず真選組の屯所に戻った。
そして土方さんの部屋に直行し、あったことを話した。
そして明日から自分がどうするかも話した。
何度も頭を冷やせ、と言われたが江戸を護るならこうするしかない、と強く訴えると土方さんはやっと頷いてくれた。
明日からなまえは新選組に派遣されます。
fin