瀬名とセフレ


「俺これから撮影だからもう行くけど、あんたは朝まで寝てていいからねぇ」
「ん……わかった…」

床に投げ捨てていた服を着々と身に付ける様子を、シーツにくるまりながらぼーっと見ていた。体の熱は一向に冷める様子はないが、泉はすっかり元の体温に戻っているように見えた。ここは彼の部屋でも、私の部屋でもない。男女がセックスするためだけのホテルだ。私と泉はいわゆるセフレ。高校から仲の良い友達だったけれど、卒業して社会人になって2人で飲みに行くようになってから、いつの間にかこんな関係になっていた。週1で仕事終わりに2人で会う。軽くお酒を飲んで話をしている時は昔に戻ったみたいで楽しい。でもお店を出ると行き先はいつもここだ。

好きだった。高校の時から。泉にフラれている子は沢山いた。学校一可愛い子から告白されてもOKをしない泉に、私が告白できるわけもない。友達としてなら泉の側にいられる。だからこの想いは胸に閉まっておくと決めていた。

泉から好きだと言われたことは一度もない。でも身体は重ねている。終わると泉はすぐ仕事に戻る。何の意味があって私とシテいるのか、そんなの聞くことは出来ないし、聞くつもりもない。大人だから分かる。性欲処理、つまりはただのセフレ。


「なぁ、今日暇?部長がみんな帰れってさ。久々の早上がりだし、これから飲み行かね?」
「(今日は泉から連絡もないし…)うん、いいよ行こ!」

同僚と2人で近くの居酒屋で久しぶりに飲んで酔っぱらい、同僚(彼女持ちで恋愛感情なし)に家まで運んでもらって玄関で泉とばったり。男に抱き抱えられてて泉くん激怒り、からの部屋でいつもより激しいセックス開始。

「あんた、俺がいるのによくもまぁこんなベロベロになるまで男と飲めるよねぇ」
「だって泉から連絡なかったし…」
「はぁ?連絡ないからって他の男と浮気してたわけ?」
「う、浮気って…私たち付き合ってるわけじゃないんだし、浮気って言わないじゃん!」
「……………は?」


言葉にしてないけど付き合ってると思ってた泉くんと、言葉にされないからセフレだと思ってた彼女ちゃん。たまには不器用な瀬名先輩を書きたいのです。



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