楽しきゃいいんです | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

体に良いご飯を選ぶんです


平古場くんとの気まずい感じもそれとなく終わったし。
甲斐くんも上手く巻き込めたし満足満足。
んで、気付いたらいつの間にかお昼回ってた。
この学校は学食があるみたいだ。
転校する前の学校は給食だったんだよねー…。
大半の中学校ってフツー給食じゃないの?
もちろん学校によるけどさ。
学食とかくっそー、調子乗りやがって!
学食がそんなに偉いのか!
まあ食いに行きますけどねっ!!



8 体に良いご飯を選ぶんです



「凛も涼音も急げー!!早くいちゅんぞー」
「へいへい」
「……」

えーと、待てよ。
昼ご飯の時間だからだから学食行くのは良いよ。
むしろ学食に行かなきゃいけないのは分かってるよ。
だからって、なんでまたコイツらと行くんだ。
おかしいんだよ。
根本的におかしいんだよ。

――時は4限目終了時。

「よーやく午前中の授業終わったー!」
「あー、疲れたさぁ」
「…あ、そういやさ、ここって昼学食なんだよね?」
「そうだぜー」
「ふーん」

よし、昼ご飯とか友達を作るチャンス!
昼ご飯を一緒に食べる女友達を作るのは大事だからな!

「んじゃ神矢。さっさと行くんどー」
は?ちょ…、ひ、ひらこばくん?なに腕掴んでんのかな?」
「よー裕次郎。学食行くぞー」
「おー」
「え?ちょ、まてまてまてまてまてっ…待たんかぁぁああ!!!

…とまあ、こんな風に。
うちの意見は一切聞かずに拉致られた訳です。
つーかまずなんでだよ。
さっきまで「顔見るとイライラする」とかほざいてた平古場くんが、何で率先してうちを連れて来てんの。
意味わかんない。
またケンカが始まることが目に見えてるぞ。
こいつはうちとまたケンカしたいのか。そしてまた廊下に立たされたいのか。
ますます分からない。

「…ぬー(何)ふらー(馬鹿)みたいなちら(顔)してぼーっとしてるんばぁ?」
「え?ぎゃあっ!
「うわっ!!ぬ、ぬーがよ!?」

そ、想像以上にもさもさが近かったからびっくりした!!

「な、なんでもない。ど、どうした甲斐くん」
「そりゃこっちのセリフやっし。涼音がふらーみたいな顔してぼーっとしてるから」
「い、いや何でもないけど。とりあえず事あるごとに人を馬鹿呼ばわりするの止めようか

人が方言をあんま理解出来ないからって言いたい放題言ってくれてんじゃないよ。

「ははっ、悪い悪い」
「…前から気になってたんだけどよ、裕次郎」
「何だよ?」
「やー、いつから神矢のこと名前で呼んでるんばぁ?」

ああ、それはうちも知りたい。

「名前?あー…気付いたら涼音って呼んでたよなー」
「ははは。うちもびっくりだよ

了承した覚えもないんだけどね!

「…ふーん」
「ぬーやが、やーも涼音のこと名前で呼びたいんばぁ?」
あらん。

そう即答されても傷つくんだけど。

「…別にいいけどさ。急に呼び方変わってもビックリするだけだし」
「そーか?わんのことは別に名前で呼んでくれても良いさー」

甲斐くんはどこまでフリーダムなんだ。

「はは…いつかね」

しばらく呼ぶ予定はないけどね!




「よし、着いたぜー」
「おぉ…!」

ここがいわゆる学食ってもんか…!
給食生活しか送ったことないヤツには新鮮でたまらない!

「ね、ねえ。学食ってどうすんの?好きなの頼んでいいの?」
「あー?そうだぜー…って、やーのとこ学食じゃなかったのかよ?」
「う、うん」

なんか言えない、給食とか。

「ふーん、まあいいさー。わったーに着いて来れば分かるさー」
「へーい」

そう言われ、ひょこひょこ甲斐くん達について行く。

「おぉー…何かいろいろあるねー…」

やっぱ沖縄だ。
なんか特有のメニューがある。
ミミガー定食とか山羊汁セット、比嘉ソバとか…すげーな。
なんとなく聞いたことあるけどその食べ物自体何だか分かんない。
美味いのか美味くないのか。

「えー…どれにすべき?」
「わんに聞くな」

平古場くんに見捨てられた。

「ちょ、初心者を見捨てるなよ!!しかもいつの間にか頼んでるし!」
「やーはノロいんやっさー」

ちくしょう。

「ねー甲斐くん、何を頼むべきなんだろうか」
「あー、だーるなぁ(そうだなぁ)…1番人気あんのは比嘉ソバだぜ?」
「おおなるほど。じゃー無難にそれにしようか…」
「おや、神矢クン。久しぶりですね」

え?

ひいっ!!

声を掛けられ振り返ったら、数日振りのオカンが立っていた。
久しぶりに見たぞ、その紅芋タルト!!

「おー木手」
「貴方たちも昼食ですか」
「まあなー」
「偶然ですね。俺たちも丁度そこで会って昼を一緒にしようかと話していたところなんですよ」

俺たち?

「…わんも一緒さー」
「おおっ知念くん!」

運命の再会。

「あと慧くんもいるさぁ」
「彼はまだ昼食を選んでますがね」
「…慧くん?」
「田仁志のことさー。あのデブな」

あ、あの横にでっかい人の事か。
慧くんって言うんだっけ。
おお!これで全部の名前が分かった!
…あれ違う。オカンの名前が分からない。
まあいっか!

「どうせなら皆でまとまりましょうか。神矢クンとゆっくり話せるいい機会ですからね」
え、別にいいんだけど

そんな事うち求めてないんだけど。
てかこんな濃ゆいメンバーと昼ご飯とか、いろいろ無理。
美味い飯も美味くなくなる気がする。

「では甲斐クン。席を取ってきてくれますか」
「任されー」

聞けよ、人の話。

「それより神矢クンは昼食、選びましたか?」
「え?あ、ま、まだだけど」
「そうですか。ならば俺が選んであげましょう」
「え?い、いいよそんな」

今のは「お願いします」のいいよじゃなくて「止めてくれ」のいいよなんだからな!
オカンが選ぶとか嫌な予感しかしねえよ!

「貴女はここの学食は初めてですよね」
「…そうですけど」
「ならまずはやり方を見て覚えてください」

教えてくれるだけで良いのに!
つーかそのままさっさと行っちゃうしよー!

「ちょ、ち、知念くん!!あの人止めて!!」
「あー…悪い、わんにはどうしようもない」
「ううう…!ちくしょう!平古場、行け!
わんには命令かよ!
「命令じゃないお願いだ!ほら行け、止めてくるまで戻ってくんな!」
「そのどこがお願いなんだばぁよ!」
騒がしいですよ
「ぎゃあっ!?」

え、てかオカン!?
早っ!
帰還はやっ!
やり方見るも何もないくらいのスピードで戻ってきやがったぞコイツ!

「はい、どうぞ」
「え…?…っ!!
「うーわ」

平古場くんの顔があからさまにひきつった。
もちろんうちの顔もひきつった。

「ちょ、これ…っ」
「比嘉中名物、『ゴーヤづくしDX』ですが、なにか?」

キタ――――――!!!
ゴーヤキタ―――――――!!!!!
てかこんなメニュー置くなよ学食によぉ!!
緑!
全体的に緑色なんですが!!

「確か神矢クンはゴーヤをまだ食べたことがないと言っていましたよね」
「い、言ったけど…」
「なので丁度いいかと思いまして」

だからってこんなんトラウマになるわ!!
もっといい出会いしたかったわ!

「ゴーヤにはビタミンC等が多く含まれるので滋養強壮効果が高いんですよ」

知らねぇよ、聞いてねぇよ!!

「では、行きますよ」
「ちょ、まっ…!」

オカンは何もなかったかのように席行っちゃうし!
なんだよアイツは!
自由人か!

「ど、どうすりゃいいんだこのゴーヤ…!」
「…まぁ、ちばりよー(頑張れ)」
「…平古場くん、少しこれ食べて、」
嫌だ

即答される。
このゴーヤすべて平古場くんの口に押し込んでやりたい。

「…ちくしょー…」

あのオカンに押し付けられたものを変えるわけにもいかず、うちは腹を括るしかなかった。
まっ緑の昼ご飯を手に席に向かった。


もう帰りたい。



つづく



[ 9/25 ]

[prev] [next]
[栞を挟む]
back