aspiration | ナノ



ちょっとだけはれんちで
ちょっとおもいはなし














何度も三日月の唇に自分のそれをあてる たまにはこういう可愛らしさも大事ではないかと思ってみたり

「ん っ、みやび」

「 、その呼び方 今されると萎える」

萎えないけど

「 そうは見えぬがな」
「うん ばればれか」

いつからだっけ三日月が俺のこと みやびって呼ぶようになったの

「雅人のことならばお見通しだからなぁ」

そっか 、思い出した。

「 うん そうだな」
「どうした雅人」

「なんでもないよ 三日月」

またふと襲う寂しさ ぽっかり空く穴
誤魔化すように三日月の首筋に顔を埋めた

「ぁっ 雅人 はは 珍しいな」

顔を上げると三日月の首に紅い跡が残る

「たまには さ いいだろ」
「なあ 雅人、」



「また ここに穴があいているのか」

俺の左胸あたりにそっと手をそえる三日月 やめろやめてくれ なんでか泣きそうになるんだ

「ごめん ごめん三日月違うんだ、そうじゃない でも そうなんだ」

そえられた三日月の手をぎゅっと上からつかむ 苦しい 痛い 三日月はここにいるのに 穴は消えるどころか広がってるようにも感じた

「俺を見ろ雅人
少しずつでいい話してはくれないか」

空いている手で俺の頬に触れ 微笑みながら言う するとすっと力が抜け 三日月の横に倒れるように寝そべった そんな俺を見てか三日月は俺の方へ顔をやり横向けになった

「みやびって呼ばれてさ、
お祖父様のことを思い出したんだ」
「先代のことをか」

あの時ふと思い出したのは 三日月が俺をみやびと呼ぶようになったきっかけ そうお祖父様が死んだ時のことだった

「うん しかも死んだ時のことでさ
もう立ち直ったはずなんだけどな まだショックは大きいみたいだわ」

苦し紛れに笑ってみる

「先代のことを忘れないためにそう呼ばせたのはお前だ 雅人 辛いこともあっただろうがそれに勝る幸せをお前に与えてくれたのは彼だけであろう」

そうだ三日月の言う通りだ 今の俺があるのはきっとお祖父様のおかげだ でもそれはお祖父様だけじゃない

「違うよ 三日月 お前もだよ
お祖父様がいなくなって それでもお前がいたから俺はやってこれた だからお前のおかげでもあるんだ」

そう言うと三日月は何も言わず 俺の首に腕を回し抱きついてきた

「はは そうか それは知らなかった」

そう言ったこいつの顔は見えなかったけど嫌な顔はしてないって 自惚れだけどそう思えた。









「はよー」

キッチンに行くと朝飯の支度をしている燭台がいた 今日は堀川いないのか

「あれ 雅人くん 早起きなんて珍しいね 今日は大学、朝からじゃないよね」

「んー 昼からだけど
昨日よく眠れたから 目 覚めた」

「おお 良い朝だ
よきかなよきかな」

「あ、 じいちゃんおはよう
まだ寝ててよかったのに」

「いやな 昨日は子守が大変だったせいか良く眠れてなぁ」
「おいこらじじい」
「はは 冗談だ冗談」

「ほらほら 遊んでないで寝てる人起こしてきて 二人とも。うちでは早起きした人が みんなを起こすのが規則なんだからね」


「へーい」
「あいわかった」






(穴はもう空かないかもな)
(あのみやびをもう見れぬのか)



20150511*



重い話がすきなんですみません



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