08



30分間のミーティングがようやく終わった。急いで先生のところへ行って、ラケットとシューズを忘れたことをいうと、ため息をつかれ、体育器具庫からラケットはかりてこいと言われた。面倒くさいけど取りに行くしかないか。
体育器具庫に行ってラケットを取りに行くことを、ダブルスのペアの子に言わなくちゃいけないから、その子を探すけど見当たらない。あれ、どこに行ったんだろ。


「あれ、もしかして、ラケット忘れた?」
「あ、真由香ちゃん」

後ろから声をかけられて振り向くと、それは例の一緒にダブルスのペアを組んでる真由香ちゃんだった。


「私も忘れたんだ、ミーティングだけだと思って」
「本当!?じゃあ一緒にラケット取りにいこ!」

よかった、忘れたのは私だけじゃなかったみたいだ。やっぱり真由香ちゃんもミーティングだけだと思っていたみたいで、先生に確認を取りに行くと「大会前なんだからミーティングがあるなら練習もあるに決まっているだろう」と怒られた。それは理不尽すぎるだろ…。先生に心のなかで悪態をつきながら体育器具庫へ向かう。


「そういえば、もうすぐ高体連なんだよね、私忘れてたんだ」
「あ、私も!最近ちょっと色々あってさ、なんか全然覚えてなかった」
「そうだよね」


私達3年は、高体連も今年で最後になる。だから今年は絶対県大会で1位を取りたい。 だけど、私は正直今はそれどころではない。高体連よりもインターハイよりも人生がかかっている、大切なことがあるんだから。

私今、本当にどっちを選べばいいのかわかんなくなってる。高校生活最後だけど、集中が全然できない。
集中しなきゃいけないのにできない。どうすればいいのか分からないし、相談する相手もいない。雨竜に相談したって雨竜は部活を優先しろって決まってるし。


「…由佳ちゃん、どうかした?」
「あ、ううん大丈夫」
「そっか」


だけど、このままでいたら迷惑がかかるのは真由香ちゃんだから、どうにかして心の整理をつけなきゃ。

やっぱり、雨竜に相談…してみよう。

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