落ち着いて来た勇義に当時の事を話した。
当時、一緒に住んでた下っ端ヤクザのそこの組長に賭けをして、勝利と引き換えに名前は捨て加賀屋組の養子になったこと。

賭けの詳細は簡単だ、今自分にかけられている、身代金額の2倍をたった2週間で稼ぐこと。何故か悪知恵の働く脳みそをもつしゅうじはそれをなしとげてしまった。

そこを偶々訪れていた、関東をおさめる加賀屋組の組長に拾われたという形だ。

そんな風なことをかいつまんで勇義に話す。


「ぼけーっとすんな」

笑って頭を撫でる加賀屋に、勇義はなぜだかポタポタと涙が溢れて笑った。

いい、悪いひとになったのね
そう言ってるようで、加賀屋は笑った。

「お前が言ったんだろ?何にでもなれるって」

「あー、俺なんかでも何かになれんのかって。そう言い切るお前が、すげえなって。」


当時を振り返るように加賀屋は窓のそとの雲を見た。


「お前にあってからかなぁ、よく天気が気になるのは。」


いい子いい子と、優しくするように頭を撫でた。


「ククッ。ま、それじゃ勇義も起きた事出し、挨拶に行くか。待たせてる。」

「?」

「俺の友人って事で大切に扱うように、念を押す為に。」

ただの挨拶かと、そう言う事ならと勇義は頷いた。

すこし笑った加賀屋に勇義は気づかない。


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