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え?
と、思った時には遅く
「うわ!!?おっ前!邪魔だって!!?」
ドスン!!
それは前触れもなく、
驚きと衝撃と共に落ちてきていて───
◇◇◇
「いってぇ〜!何でこんなとこいんだよっ!お前!あぶねぇだろ!!」
突如、空から降って来た人が何か叫んでいる。
「…」
でも
「おいって!!」
今、何も考えられないんです。
何故かと言われますと
足がですね、グキっといやな音がを出したのです。
じんじんと痛む足首の熱は体の隅々にまで、響き渡る。
それもそのはず。
バランスを崩したであろう状態で落ちて来た人のついた腕が、オレの足首に直撃だったのだ。
うぅ。
痛過ぎて声も出なかったぁ。
のたうち回る体力もないので、右の足首をギュッと掴み痛みをやり過ごしてると、ぐぃっと強引に上へ引っ張られた。
「お前さ!聞いてんのか?!無視はいけないんだぞ!」
確かに顔を伏せてひたすらに足を押さえ付けている図は、無視に値するものだ。
「え、あ……ご、ごめんなさ…!」
勢いよく顔を上げる。
思いの外近くに顔があって視線と視線がぶつかった。とっさに視線をずらすと、息をのむ声が聞こえた。
「…お前、折角綺麗な顔してんのに…変な色の目してんだな!でも好きだぞ!」
彼の言葉に一瞬肩が震えたのを無視して、眼鏡を触った。
「う!生まれつきで、色素が薄くて目が弱くて、あぁえと!こ、この眼鏡なしだと、ぜんぜんで、」
顔だって綺麗とわかる人は何人か知ってる。その中に自分は何もかも当てはまらない。
その事を指摘されたのが久し振りだったせいか、言わなくていい事まで口走って、あわあわと焦っていると目の前の人が突然「あっ!」と思い出したかのように声をあげた。
「そういやお前!」
「は、はいっ」
思わず正座。
「お前、もしかしなくても迎えの奴だよな!?」
「え…」
む、むかえ?
言われた言葉は見に覚えの無いもので、ゆっくりと視線を上にあげた。
「遅ぇーよ!何してたんだよ!!」
目の前で怒鳴り散らすその子。その時、初めてじっくりその人を観察して見た。華奢な体に、黒いもしゃもしゃした頭と底の見えない大きい…大きな
「ぐるぐる眼鏡…」
「は?」
「え、…あ。す、すみませんっ。何でもない…です」
く、口に出てたっ
「てか、お前が遅いから待ちくたびれてさぁー!頑張ってこの門登ったんだぜ?まぁ楽勝だったけどな!」
誇らしげに言う目の前の子。
た、確かにその華奢な体で登ったのは凄い…
「あ、あの…」
でも
もう一個はホントに知らない。言わないと
「…あの。…さ、さっきから、何の事だか分からないんで、す…けど」
「はぁ?!お前、俺の迎えじゃねぇの?!じゃあ何でお前ここにいんの?」
「えっ?えっと……なんででしょう…」
その問いかけに、こてんと首を傾げた。
それにしても、
何て真っ直ぐな瞳なんでしょう。一度もそらされない瞳。とても羨ましい。
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