アナタが世界でボクが色。 | ナノ


2



え?



と、思った時には遅く



「うわ!!?おっ前!邪魔だって!!?」



ドスン!!



それは前触れもなく、
驚きと衝撃と共に落ちてきていて───



◇◇◇




「いってぇ〜!何でこんなとこいんだよっ!お前!あぶねぇだろ!!」


突如、空から降って来た人が何か叫んでいる。


「…」


でも


「おいって!!」


今、何も考えられないんです。
何故かと言われますと
足がですね、グキっといやな音がを出したのです。

じんじんと痛む足首の熱は体の隅々にまで、響き渡る。

それもそのはず。
バランスを崩したであろう状態で落ちて来た人のついた腕が、オレの足首に直撃だったのだ。

うぅ。
痛過ぎて声も出なかったぁ。
のたうち回る体力もないので、右の足首をギュッと掴み痛みをやり過ごしてると、ぐぃっと強引に上へ引っ張られた。



「お前さ!聞いてんのか?!無視はいけないんだぞ!」


確かに顔を伏せてひたすらに足を押さえ付けている図は、無視に値するものだ。


「え、あ……ご、ごめんなさ…!」


勢いよく顔を上げる。
思いの外近くに顔があって視線と視線がぶつかった。とっさに視線をずらすと、息をのむ声が聞こえた。


「…お前、折角綺麗な顔してんのに…変な色の目してんだな!でも好きだぞ!」


彼の言葉に一瞬肩が震えたのを無視して、眼鏡を触った。


「う!生まれつきで、色素が薄くて目が弱くて、あぁえと!こ、この眼鏡なしだと、ぜんぜんで、」

顔だって綺麗とわかる人は何人か知ってる。その中に自分は何もかも当てはまらない。

その事を指摘されたのが久し振りだったせいか、言わなくていい事まで口走って、あわあわと焦っていると目の前の人が突然「あっ!」と思い出したかのように声をあげた。


「そういやお前!」


「は、はいっ」


思わず正座。


「お前、もしかしなくても迎えの奴だよな!?」


「え…」


む、むかえ?
言われた言葉は見に覚えの無いもので、ゆっくりと視線を上にあげた。


「遅ぇーよ!何してたんだよ!!」


目の前で怒鳴り散らすその子。その時、初めてじっくりその人を観察して見た。華奢な体に、黒いもしゃもしゃした頭と底の見えない大きい…大きな


「ぐるぐる眼鏡…」


「は?」


「え、…あ。す、すみませんっ。何でもない…です」


く、口に出てたっ


「てか、お前が遅いから待ちくたびれてさぁー!頑張ってこの門登ったんだぜ?まぁ楽勝だったけどな!」


誇らしげに言う目の前の子。
た、確かにその華奢な体で登ったのは凄い…


「あ、あの…」


でも
もう一個はホントに知らない。言わないと



「…あの。…さ、さっきから、何の事だか分からないんで、す…けど」


「はぁ?!お前、俺の迎えじゃねぇの?!じゃあ何でお前ここにいんの?」


「えっ?えっと……なんででしょう…」


その問いかけに、こてんと首を傾げた。


それにしても、

何て真っ直ぐな瞳なんでしょう。一度もそらされない瞳。とても羨ましい。

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