アナタが世界でボクが色。 | ナノ


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そんなこんなで
これまた物凄い内装を堪能した後、エレベーターで最上階まで上がりました。
…さすがに中も物凄かったです。豪華な螺旋階段もあったし、踏むのがためらう位の絨毯の廊下とか…。
汚したら弁償かなっ?
うわわ気をつけなきゃだね!うん。

えーと。…あと、わかった事が運転手さんは渡辺さんっていって秘書さんでもあるらしい。エレベーターに乗ってる時、申し遅れました!って言いながら自己紹介をしてくれたの。
んー…けど、何か流君?に凄く脅えてるみたいであまり話してはくれなかった。

確かに流君は、日向組っていう組織の凄腕幹部って言われてて、稀なる頭の切れ?を持って組の抱える事業とかを発展させて行っているらしいし。
全部、前お世話になっていた人の受け売りだけど…。
元々日向組も、日本一の組織力をもって世界でもその影響力はずば抜けているんだって。
世間一般の事に疎いオレでも日向組に来た時から凄いって事だけは知ってたんだから、多分日向って言ったら反響は大きいんだと思う。

渡辺さんも最初に『日向様』って言ってたからそれで怖がってるのかも。

…それにと言ってはなんだけど、この学園に通う事が決まってから凄く不機嫌になってるのもあるし…。

でも流君にはちょっと悪いけど、やっぱりオレにとっては初めての学校だから、ちょっぴりだけ…楽しみだったり…。
あ、何より流君とってトコが重要なんだけど!

そんな事を考えながら広い廊下を進んで行くと「此方です!」という渡辺さんの声が聞こえてきて、自分がもう理事長室の前まで来ていた事がわかった。
促すように高そうな扉を開けてくれる。

あ。察してると思いますがまだ流君に抱えられてます…。だめだった…

理事長室は、どんなスイートルームよりも豪華でキラキラっていうよりギラギラしていた。そこかしこに、高そうな骨董品が飾られている。
なんか緊張してきた……。


「あぁ!ようこそ我が聖桜学園へ日向s「わ!」―」


男の人が部屋の中央から話す途中、流君の手がオレの頭に添えられてグッと胸に押し付けられた。

はぅ…じ、じみにいたい。
片手で鼻をおさえ、ちょっと混乱。

いつも行動が唐突過ぎて、付いて行けない時が多々あったりするのもしょうがない事だと、思いたい…。


「?…どうなされましたかな?…」


行動を不思議に思ったのか、さっきの人(多分理事長さん!)が声を掛けてくれた。けど、流君はずっと携帯を弄っている。
そしてこの無言がきつい…。

え…と、…携帯やめさせた方がいいのかなぁっ?

そんな事を思い始めた時、理事長さんが口を開いてくれた。


「ま、まぁいいでしょう」


なんか、考えてる間に空気感がピリピリしだした気がする…。
流君、なんかした?
そんな空間に、耐えられなくなったのか先程まで扉の隅に居た渡辺さんは「で、では私はこれでっ!し失礼させて頂きます!!」と勢いよく頭を下げて出て行ってしまった。

急に出て行った渡辺さんにはびっくりしたけど、まぁいいやとも思ったオレ。…実は、また瞼が重たく成ってきたっていうのが本音です……。ふぁ。眠いです。
来る前、車の中で寝てれば良かったぁー……。
楽しみなのと腰の痛さで寝れなかったし……ちょっと後悔。


「、失礼。じ、自己紹介がまだでしたかな!私は理事長の─」


「───」


頭上で話されている会話の中、オレはコクリと眠気に誘われていた。

オレもそれを聞かなきゃいけないんだと思う。
だけど…。流君に押し付けられた胸元からゆっくりとした、心臓の音が聴こえて頭の中に響き渡っていくのがわかる。
また頭がふわふわしてきた。


そんな世界に浸っていたオレは、意識を手離すのにはそう時間は掛からなかった。

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