アナタが世界でボクが色。 | ナノ


3

「……ふわぁ」


と、一つ欠伸。
頭がふわふわしてくる。
やばい…眠くなってきたかも。
コクコクと船を漕ぎ始めたそんな時だった。


「……む?」



眠気の感覚とは違う、ふわっと体が宙に浮く感覚。


「…ふぇぁ?…っどうしたの!?」


流君が突然、パタンと携帯をしまうとオレを横抱きにして門から離れたのだ。
急の動作に着いて行けず若干混乱中。


「…………?な、何事?」


とりあえず、無言の流君の首に腕を絡めて訪ねる。
けど…反応は無し。

そのまま待ってると、それから二分と経たない内にあんな重そうだった門がギギギッと動いた。

続くように門の奥から高級そうな黒塗りの車が一台コッチに向かって走って来るのが見える。
多分あれが迎えの車だ。

すると目の前に停車したその車から、若い男の人が出て来て土下座をする勢いで直角にお辞儀をした。


「すっすみません!只今、門番が出払って折りまして……!確認が遅れましたっ!ひゅ…日向様で…よ、よろしいでしょうか?!」


真っ青な顔のその人に、流君は一瞬も目を合わす事なく、そのままさっさと車に乗り込んだ。
慌てたように、続いて乗り込んだ運転手さんは、暫くすると車は来た道を戻って行く。

そんなに…焦らなくてもいいのに。
さっきの待ち時間は、そんなに苦じゃなかったし…。うん。へへ。


とりあえず車さんれっつごー!



◇◇◇



車内に乗り込み、丁度落ち着いた頃。

また携帯を開けていた流君に、一番気になっていた事を聞いてみる事にした。
因みに横抱きのまま。


「…流君。なんで車来るの分かったの?」


うん。
これ凄く疑問だった。耳には結構自信があるんだけど、オレには車のエンジン音が一切聞こえなかった。
それが不思議で、聞いてみたんだけど流君は目線をそのままに、


「…振動。しただろ」


そう当たり前のように言った。


「……?」


うん。
全くわからなかったよ。
流君は、予知的能力を発揮したという事にしとこうっ

さすがっ流君
出来ない事なんてないね!

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