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「おろしてぇ。歩けるー、銀君」
「はいはい」
そのまま抱っこで寮に連れて行かれた。
流君からの抱っこは慣れているとはいえ、銀君にまで、、、、。恥ずかしい、、、。
寮につくと、椅子に座らされテーブルの上にゴトリと黒い物をおかれる。携帯と同じような形で、先端には銀の突起がギラリと光っていた。
「?」
「スタンガンっすね」
「すたんがん」
「はい。何かあった時、そこの電源をONに切り替えて、銀の部分を相手に当てるだけっす。」
「あ、当てるとどうなるの?」
「俺がボルトを引き上げたんで余裕で気 絶しちまいますかね。1つ注意する事は相手には触れない事、感電する恐れがありますから。いいっすか。肌身離さず持っててくださいね?」
「それ使う時来るかなぁ」
「万が一っすよ。俺も離れる時がありますから。あ、でもお嬢の場合襲われる場合もあるっすからねぇ。少しでもセクハラされたら一発どぞ」
「せくはら?」
「つまりお嬢は可愛いって事」
「えっ?、、、、、あわわ、あ、ありがとうございます?」
穏に笑う銀君ににこっと返すと、また頭を撫でられた。
「遅れた理由っすかねー。流生さんを気に入ってる組織の幹部が大きな商売を始めるらしいんすよ。で、流生さんにお声が掛かったと。どうしても流生さんがいいらしくてねぇ。今回はこちらが折れる形で引き受けたんすよ。」
銀君は一呼吸置き、話し出す。
「流生さんも大変っすよねぇ。後継者候補となると日向さんとの学園に通うって言う条件もまともに出来ねぇんすから」
「ねぇ、銀君。何で流君ってそうまでして六代目になりたいのかなぁ?」
「はい?」
「えと、なんて言うか流君ってそう言うのに執着なさそうなのになぁって。」
「当時は言いませんでしたけど。実は流生さんが取引を持ち出した事がありましてね。それは当時組内でもただの幹部だった流生さんが後継者、つまり六代目になる代わりに1人、仁さんから人間買うと言うものでした。」
「それがオレ?」
「はい。元々、お嬢の権利は仁さんにありましたからね。いつもは勝手に何やっても放任だった仁さんがこの件に関しては権利を主張したんすよ。」
「?」
「今までこの二人が本気で対立するのってのはなかったのでね。当時は驚いたっすねー」
当時の事を思い出してるのか、ちょっと百面相。ふふ。
「そうだったんですね」
流君オレのため?に頑張ってくれたんだ。そう考えるだけで幸せがわいてくる。
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