ここの施設の子供に欠けているものは、それは
協調性、責任感、勉学的な事であったり、慈しみであったり、愛情であったりする。
何かが恐ろしく欠けていた。
何の気なしにのほほんと歩く綺色もどれかしらに欠陥を持っている。
「お。綺色おはよ!」
集会場へと続く賑やかになって来た廊下をぷらぷら歩いていると見知った顔が声をかけて来た。
「あ、圭くんおはよぉ」
綺色よりも若干低い身長に、強気そうな黒目が印象的な森川 圭。綺色より1つ上の年で、23号室の班長であったはずだ。
「綺色が班長になったって本当だったんだ!意外過ぎてうける!この間指導室行きくらってたのに!似合わね」
「えーそんな変なん?俺班長頑張るよ?」
「ふーん。てかそれよりさ」
爽やかに嫌みを入れてくる圭に分かっているのかいないのか笑って返すと圭は興味を失ったように話を切り替えた。
「あの二人どうよ?オレも昨日すれ違ったんだけどさぁ!超イケメンじゃん!」
「ふふふ〜ん♪俺もそれ思てん。格好えぇよね2人とも。だけどまだ入ったばっかやからかな無視されちゃったんだよねぇ」
「まぁそりゃ誰だってそんな感じだよ。暴れないだけマシ!」
そんな会話をしているといつの間にか目的の場所に着いていた。
数十人の教官の点呼の声が聞こえる。
「それじゃ。またね圭くん」
「んー」
ざわざわとざわめく周囲に急かされて、挨拶もおざなりに圭から離れると見知った顔がちらほらと見えた30番台の列に並んだ。
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