二人は、施設指定の薄い水色の上下と黒のカーディガンを着ていた。それでも季節的に寒そうではあるが、施設の空調は春並みだった。
「こっちの彼は瀬川 岳君、隣は矢井田 公君。二人とも雨宮君と同い年だよ」
峰が笑顔で紹介する。
「雨宮 綺色でーす。班長なるん初めてやねん。よろしゅうしてなぁ」
にこりと笑って綺色は手を差し出す。
「俺に関しては一切干渉はいらない」
「………」
しかし二人はその手に目もくれず、綺色の横を通り過ぎて個人用の部屋へと入って行ってしまった。
名前プレートが扉に掛かっていて、その内の右奥が綺色の部屋。右手前が公、左奥が岳となった。綺色はきょとんとしながら手を引っ込めてもう一度峰を振り返る。
「まぁ、入って来たばっかりだからね。雨宮君、2人のサポートよろしくね」
いつもの事のように峰はその言葉を残して退室していった。
「二人が楽しく過ごせるように頑張ろぉ」
綺色も別段気にする様子はなく、これからの共同生活を嬉々としていた。
その姿は、この施設には不似合いで年相応な少年の姿だ。
◇◇◇
朝7時。綺色は規則的な音で起こされた。
ぱちりと開いた瞳を擦って音を止ませると水色の服から水色の服へと同じ指定の服へと着替えて部屋を出た。
朝7時には、各部屋の班長達が集められ、ルームメイトの報告や配給、伝言が渡される事になっている。
他にも昼と夜に一回ずつそれがあり、班長はその日やるルームメイトの個人プログラムを管理しなければいけない。
ここでは年齢に則った知力を身に付けさせられる為、その人に合った授業を年齢関係なく教えられる。
生徒は"問題児¨というだけあって、施設へ来る前の勉強への関心度が分かる程知力が低い者も少ないくはない
時間等の感覚が皆無な問題児達を時間道理に指定の場所へと連れて行かなければならない。
綺色自身も少し前までは同じ班の班長に指示されていた。
急な入寮だった2人に合わせられ、年が近く比較的ここが長い綺色が抜擢されたのである。
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