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24 赤司の心配


“お掛けになった電話は電源が入っていないため…”

「…またか、」


はぁ、とため息を漏らすのは何度目だろうか。

この間会ったときにはなにも変わらない笑顔を見せてくれた苗字さん。
それが最近、全く連絡がとらなくなった。
普段は彼女のこともあり、メールしかしないのだけれど、嫌な予感がして電話をかけてみればこの様である。


「名前ちゃん、どうしちゃったのかしら…?」

「玲央か、」


唯一こっちで彼女のことを知っている玲央が心配そうに眉を下げる。
「そうだな」と返して、ほとんど無意味なものとなっている彼女との唯一のつながりである携帯に視線を向けた。


「…何かあったのは間違いないだろうね」

「…まさか…事故、とか…」


玲央の言葉に携帯を持つ手に力が入った。
確率は低い、けれどないとは言い切れない。

せめて安否の確認ぐらいできればいいものの、自分の家の力を使って調べるのは彼女を不快にさせるかもしれない、だから手段もない。

ほとんど無意識こぼれたため息に気づいて、思わず苦笑いをしてしまう。


「…俺も…大概だな、」

「え?」

「…いや、なんでもないよ、
…そういえば、東京の学校が練習試合を申し込んできたんだった」


「え!」とこえと顔を一緒にあげた玲央に頷いてみせると、玲央がここ最近で一番明るい笑みを見せた。


「そのとき、少し探してみよう」

「ええ、そうね」


嬉しそうに笑う玲央にふっと笑みを返してから、今度はメール作成画面を開く。


“今度そっちで練習試合があるんだ。
良かったら見に来ないかい?”


恐らく届かないであろうメールを送ろうとしたとき、彼女の笑顔が頭を過った。

この笑顔を早くみたいと願い、送信ボタンを押したのだった。

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