夢小説 完結 | ナノ
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23 高尾と拒絶


「なぁ、真ちゃん、…苗字ちゃんどうしちゃったんだと思う?」

「…さぁな」


部活が終わって部室で着替えているときにエース様に聞いてみたのは、今一番気になってる、てか心配してる苗字ちゃんのこと。

ちょくちょくメールをするようになって、友達と呼べるくらいにはなっていたつもりだった。
それがいきなり、音信不通になったんだ。
もしかしたら嫌われたのかもしれない、そう思って真ちゃんに相談すると、真ちゃんも連絡がとれないという。
嫌な予感がして宮地さんにも尋ねると、半切れされながらと同じような答えが返ってきた。


「どう考えたっておかしいよなー…」

「体調でも崩してるんじゃないか?」

「それなら一言ぐらいいえっつーの、あの馬鹿…」


大坪さんの言葉に舌打ちをした宮地さんに苦笑いしていると、木村さんが「飯でも行くか!」といきなり提案してきた。
えっ、と驚いていると「そうだな、気分転換になるかもしれないしな」という大坪さんの言葉にほぼ決定となった木村さんの提案。

チラリと隣の真ちゃんの様子を伺うと別に反対する感じでもなかったので「そっすね!」と笑って返しておいた。


それから学校を出て向かったのは、前に海常と、そして苗字ちゃんと来たファミレス。
場所のチョイスのせいで再び彼女のことが頭を過ったのは俺だけではないと思う。

そんなに広くはない道をデカイ奴等が歩いていると、どうしても周りからチラチラと視線を向けられる。
時折、横を通りすぎていく女子高生の集団から「あの人かっこよくない!?」なんて言うこえすらもする。
そんな集団の中に苗字ちゃんがいるんじゃないかと、見てしまうのは最近じゃ当たり前になっている。


「高尾、ボヤボヤすんな!轢くぞ!!」

「すんませーん」


似たような背格好の子がいて、自分の“眼”で確認してみたけどやっぱり違って方を落としたところで、宮地さんからの叱咤を頂いた。

「へーい」と返して、少し前にいる皆に追い付こうとしたとき、視界の端に入ったのは公園。
何の気なしに通りすぎようとしたけれど、なんとなく足を止めると、奥にあるブランコを誰かが小さく揺らしながら座っていた。


「(…あれって…)」

「高尾、何をしているのだよ」


「早くこい」と急かす真ちゃんの声がするけれど、そんになこと気にする暇はなかった。

もぅ真っ暗になってしまっていて、その子うつ向いているし、分かるのはシルエットぐらいだけど、自分の持つ特別な“眼”で見れば、それが誰かすぐに分かった。


「っ、苗字ちゃん!!!」

『っ!』


ハッとしたように上がった顔。
ほらな、やっぱり、
そう思って公園に入ろうとしたとき、久しぶりに合った目が俺の知ってる彼女のものとは違っていて、心臓が嫌な音をたてた。


『っ!!!』

「あっ、待って!苗字ちゃん!!」


俺が躊躇していた一瞬に、苗字ちゃんは俺がいる方とは反対側の入り口から飛び出した。
「苗字!」とそんな苗字ちゃんに気づいた宮地さんの声が耳にはいってきて、慌てて彼女の後を追ったけれど、彼女の走っていった方にはもぅ誰もいなかった。

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