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21 私とおばあちゃんと


おばあちゃんが倒れた。
2年前から私の面倒を見てくれていたおばあちゃんが倒れた。

「ただの過労だから、心配しなくていいんだよ」と笑ったおばあちゃん。
本当に?聞く勇気もない私は黙ってうつ向いた。


2年前のお葬式のとき、集まった親戚の人たちが話していていたことを思い出す。
「じゃあ、あの子1人だけ?」
「おばあさんがいるみたいだけど…」
「ショックで声も出せなくなったんでしょ?」
「まぁ…」

“可哀想な子”

誰かが呟いた言葉が頭の中で反響した。
そっか、私は可哀想な子なんだ。
そのとき、ボーッとした頭でそんな事を考えていた私の手を握ってくれたのがおばあちゃんだった。

優しい優しいおばあちゃんの温もりが氷かけていた私の心を溶かしてくれた。


「泣いてもいいんだよ、」


初めてかけられた言葉に自分の頬を何かが伝っていくのを感じた。


「悲しいときは、泣くもんだよ」


気づけば、自分とあまり変わらないおばあちゃんの腕のなかで嗚咽を漏らしながら泣いていた。


おばあちゃんは私にとってとってもとっても大切な血の繋がった家族。

そのおばあちゃんが倒れた。

なんで?なんで?どうしておばあちゃんなの?
グルグルとまるで頭の中がかき回されるような感覚に陥った。
なんで、どうして、そんな風に考えていると、また浮かんだのは1つの言葉。

“可哀想な子”

テレビかそれとも周りにいる誰かが言っていたのか、よく覚えてはないけれど、幸せは伝染するとかなんとか聞いたことがある気がする。
じゃあ、その逆もあるんじゃないかな。
可哀想な私がおばあちゃんの側に居てしまったから、おばあちゃんは倒れたしまったのかも。
そうだ、きっとそうに違いない。

ごめんなさい、おばあちゃん。
私は一番大切なおばあちゃんを傷つけていたみたい。
私は、おばあちゃんの側に、ううん、大切な人の側に居てはいけないんだね。

ようやく見つけた答えが心の深いところに沈んでいく。

そっか、私は、

『(ここにいちゃ、いけないんだ…)』

ぐちゃぐちゃだった頭の中が凄くクリアになった。
でも、クリアになりすぎて、何もなくなってしまった。

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