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20 秀徳と海常と2


秀徳と海常の皆さんと向かったのは近くのファミレス。
そこに向かう途中で、まだ名前を聞いていなかった大坪さんと木村さんと自己紹介をした。




「何故だ!!なぜ俺が名前ちゃんから離される!?」

「危険だからっス」

「真ちゃんもちゃっかり苗字ちゃんの隣陣取っちゃってるし?」

「…黙れ高尾」


ファミレスに着くと少しだけ驚いた顔をした店員さんに通されたのは一番奥の席で、人数が多いため2つのテーブルをくっつけてもらった。
ちなみに、右には黄瀬くん、左には緑間くん、向かい側には宮地さんが座っている。


「で、なんで苗字が緑間や高尾と知り合いなんだよ?」

「そうっスよ!!なんで緑間っちが名前っちと知りあいなんスか!」


宮地さんと黄瀬くんの問い掛けに面倒そうにため息を吐いた緑間くん。
そんな彼に変わって説明しようとボードを出すと、「いい、苗字、」と緑間くんに止められた。


「俺が落としたラッキーアイテムを拾うのを手伝ってもらったのだよ」

「そうなの?苗字ちゃん?」


緑間くんの隣に座っている高尾くんの問い掛けに頷いてみせると、「へー」とニヤっと笑って緑間くんに視線を向けた高尾くん。
「なんなのだよ、」と鬱陶しそうに返す緑間くんに高尾くんはさらに笑みを深めた。


「いやー、俺今までおは朝のラッキーアイテムってあんま信用してなかったけど…
真ちゃんはそれのおかげで苗字ちゃんに出会えたわけね」

「あ、そう言われるとそっスね」


「おは朝も馬鹿にできねぇな」と笑う高尾くんに嫌そうに眉をしかめる緑間くんは黙れ、と言うように高尾くんに視線を向ける。
もしかして緑間くんは怒っているのだろうか、と不安に思っていると、今度はそんなこと全く気にしていないような黄瀬くんが笑顔で話しかけてきた。


「じゃあ笠松先輩とは?」

「あ?」

「だって先輩、女の子苦手じゃないっスか
それなのに名前っちと知り合いなんて可笑しいじゃないっスか!」


女の子が苦手、その言葉に黄瀬くんの隣に座る笠松さんを見ると罰が悪そうに顔を背けられた。


『〈ごめんなさい、まさか女の子が苦手だなんて知らなくて…だから、あのとき話しかけちゃって…
本当にごめんなさい、〉』


頭を下げながらボードをみせると、なぜか黄瀬くんが頭を叩かれていた。
それから「…別に、気にすんな、」と小さな声で答えくれた笠松さん。
ゆっくりと頭をあげると、今度はしっかり笠松さんと目があって笑顔を向けると「ああ!!そんな可愛い顔しちゃダメっス!!」と黄瀬くんに遮られてしまった。


「…それよりも苗字、早く選ぶのだよ」

『(あ、)』


スッと差し出されたのはメニューで、ありがとうという意味を込めて緑間くんにも笑って見せると、なぜか高尾くんが「真ちゃんうらやましいー」と言っていた。
何が羨ましいのだろう、と不思議に思いながらも注文を待たせるわけにはいかないので、早速メニューを開いた。


「決まったか?」

『〈はい!グラタンにします〉』

「なら、店員呼ぶぞ、高尾ー押していいぞー」

「はーい」


高尾くんが呼び鈴を鳴らしてから少しすると店員さんが来て、それぞれで頼みたいものを伝えた。
私の分まで頼んでくれた宮地さんに〈ありがとうございます〉と笑うと向かい側からスラリと長い腕が伸びてきて、頭を撫でられた。


「ああ!!宮地羨ましい…!!」

「んだよ、森山、なんか文句あんのか、轢くぞ!」

「まぁでも、苗字ちゃんの頭ってなんか撫でたくなりますもんね」


「分かります」と笑う高尾くんを頭を撫でられながら見ると、その腕にはオレンジ色のリストバンドがついていて、あっ、というように唇を動かすと、それに気づいた宮地さんは手を離してくれた。


「どうした?」

『〈高尾くん、それ〉』

「ん?ああ、有り難く使わせてもらってるぜ!」


「うちのカラーにピッタリだしなー」とリストバンドを見せてくる高尾くんに嬉しくなって笑顔を溢す。
そこで、今日の一番の目的を思い出した。


『〈緑間くん、これ…〉』

「?なんだ?」

『〈開けてみて〉』


隣に座る彼の袖を軽く引いてから茶色の袋を渡すと、不思議そうな顔をしながらも緑間くんはそれを受け取り、中を確認してくれた。


「…リストバンドか」

『〈緑間くんに似合うと思って買ったんだ!
高尾くんと色ちがいなんだけど、〉』


〈貰ってくれる?〉と首を傾げると、緑間くんが小さく、本当に小さく笑って「ああ、」と頷いてくれた。
それにホッとして笑顔を溢すと、緑間くんとは反対側から服を少しだけ引かれて、そっちを見るとムッとした顔をした黄瀬くんがいた。


「…ズルいっス」

『?』

「…なんか、ズルいっス…」


拗ねたような顔をしている黄瀬くんに困っていると、「餓鬼か!!」と笠松さんが彼の頭をはたいた。
それに「痛いじゃないっスか!!」と少しだけ涙目になりながら、頭を押さえる黄瀬くんにてを伸ばした。


『“痛いの痛いの、飛んでけー!!”』


我ながら子供っぽいなと思いながらも、口パクをしながら黄瀬くんの頭を撫でていると、その場がシンっとなった。
何かまずいことをしただろうかと慌てて黄瀬くんの頭から手を離すと“ゴンッ!!”と凄い音が聞こえた。


「可愛いすぎる…!!天使だ!!天使は実在したのか…!!」

「普段ならマジで森山先輩の頭を疑うんスけど…なんか、その気持ちならわかるっス」

「苗字ちゃんクソかわ!!」

「お前な、あんまそういうことはするもんじゃねぇぞ?次にしたら、デコピンな」


ゴンゴンと机に頭を打ち付ける森山さんや各々違う反応に首を傾げるていると、「気にするな、」と大坪さんが優しく答えてくれた。
何がなんだかよく分からないけれど、とりあえず大坪さんに頷いた所で、店員さんが頼んだ品を運んできたので、ようやく森山さんが頭を打ち付けるのをやめた。


それから、全員で美味しくご飯を食べて、お会計をするとき、「リストバンドのお礼なのだよ」の緑間くんが私の分まで払ってくれた。
ありがとう、と何度も頭を下げていると、また森山さんが今度は電柱に頭を打ち付けていたので、慌ててそれを止めて、さっき黄瀬くんにしたように頭を撫でると、宣言通り宮地さんにデコピンされました。

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