夢小説 完結 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

3 桐皇の青色エースと


「ね、可愛いね?」

「いいじゃん、俺たちと遊ぼうぜ?」


ニヤニヤとヘドが出るほどうざったい連中が一人の女を囲んでいた

女はというと、捕まれた腕をなんとか離させようと足掻いているものの、相手は全く気にしていない

声のひとつでもあげろよ、
チッ、と舌打ちを1つしてから、もう一度連中と女を見ると、今にも何処かに連れて行かれそうな勢いだ
面倒だと思いながらも、そいつらに近づくと、全員の視線が俺に集まる


「だ、誰だお前!」

「あ?」


明らかに俺よりもチビなそいつらは、自分よりデカイやつを目の前にして、ビビったように声をあげた


「…離せよ」

「ひっ!」


女の腕を掴んでいる男に低い声で一言
それだけで、その男は情けない声を出して簡単に手を離した


「失せろ」


見下ろすように視線を向けて言えば、顔を青くした男たちは逃げるように走っていく
情けねえ奴等だな、
なんて思って鼻で笑っていると、ジャージの裾を何かが引っ張った


『〈助けていただいて、ありがとうございました〉』


白いボードに書いたものを俺に見せてきた女はゆっくりと頭を下げた
なるほどな、それで声をあげなかったのか、と納得していると、女が顔をあげた


『〈お礼を、させて下さい〉』

「あ?別に礼なんて…」


いらねぇ、そう続けるはずだったが、目の前の女の真剣すぎる目に言葉を飲み込んだ

目の前の自分よりもはるかに小さいソイツの目は俺がよく知るバスケ馬鹿たちの目に似ていた


「…腹が減った」

『?』

「テリヤキバーガーでも奢れ」

『!!』


仕方がない、というように女から視線を外して言うと、女は嬉しそうに笑顔で頷いた






『〈お名前はなんて言うんですか?〉』


テリヤキバーガー食ってると、差し出された白いボード
口ん中に入っていたものを飲み込んでから女を見ると、じっとこちらを見ていた


「青峰大輝」


答えると、女はパッと笑顔を浮かべて、差し出していたボードを引き寄せて何かを書いた
それからまたすぐにそれを差し出してきた


『〈青!!髪の色と同じなんですね!!〉』


何がそんなに嬉しいのか、ニコニコとしながらボードを見せてきた女に「そうだな、」とテキトーに返すと、女はまた何かをボードに書き始めた


『〈空の色と海の色と同じですね
私、空も海も大好きなんです〉』


ドキリと心臓が鳴ったような気がした
空と海、なんて初めて言われて、なんだかむず痒くて「そうかよ、」とぶっきらぼうに返すと女はクスクスと笑った


「…お前の名前は?」

『〈苗字名前です〉』

「…年は?」

『〈高校1年です〉』

「なんだ、同じ年じゃねぇか」


「だったら敬語使ってんじゃねぇよ」と言うと、デカイ目を更に大きくして俺を見てくる苗字
いったいなんなんだ?と怪訝そうに見ていると、慌てたように苗字が書いた言葉に思わず声をあげて笑ってしまった

『〈いったい何食べたらそんなにおっきくなれるの???〉』

「はは、なんだよそれ!
別に普通のもんだよ」

ポンポンと目の前にある頭に数回手をおろしながら拗ねたような顔をする苗字の髪の柔らかさに少しだけ驚いた
もちろんそんなことには気づいていない苗字は頬を膨らませて、俺を睨んでくるが全く怖くない、むしろ、可愛i…ゴホゴホ


「ま、まぁ、強いて言えば…やっぱバスケしてるからだろ」


頭の中に出てきた変な感情を隠すようにそう言うと、苗字がパッと顔色を変えた
コロコロと表情が変わるやつだな、なんて思って内心笑っていると苗字がその先を求めるように目を向けてきた


「…今度一緒にするか?」

『!』


コクコクと数回頷いた苗字

そんな姿を笑いつつ、頭の中にはやっぱり変な思いが浮かぶのであった


「(俺はマイちゃん一筋だっつーの!!
なのに…なんでだああああああああああ!?)」

prev next