夢小説 完結 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

大学1年になりました31


翔一くんと別れてから、皆で鍋をすると言う大我の家へ向かった。マンションのエントランスでインターフォンを鳴らすと、少しの間が空いてから、大我が出てくれた。


『あ、大我?わたしだけど…』

“あー、出るの遅くて悪い…さっき目が覚めて…それに、ちょっとhappeningが…”

『?』


あれ?鍋をしていたのではないのだろうか?不思議に思いつつ、大我がエントランスを開けてくれたため、あまり気に止めず大我の部屋へ行くと、今度は部屋のチャイムを鳴らした。
先ほどと違い、直ぐに扉が開き、中から大我が顔を出すかと思いきや。


「名前ー!!!」

『!?あ、アレックスさん!?』


大我の部屋から出てきたのは、アメリカにいる筈のアレックスさんだった。











『え、じゃあ2人の試合を見るために日本に?』

「そういうことだ。なんてったって、2人は愛弟子だからな!」


アレックスさんとの突然の再会。出迎えてくれた彼女からのハグを受けているの、いつかのようにアレックスさんの顔が近づいてきた。あ、そういえばアレックスさんってキス魔だとかなんとか。
もし大我が彼女の襟首を掴んで引き離していなければ、この世界でのファーストキスは彼女に奪われていただろう。

皆で円を作るように座ってアレックスさんの話を聞いていると、彼女は辰也と大我の2人の試合を見に来たという事らしい。なんとも彼女らしい。
「暫くよろしくな!」と肩を抱いてくるアレックスさんに笑って頷くと、俊くんが不思議そうに首を傾げた。


「あの、アレックスさんと名前さんって…?」

『あ、前にお好み焼き屋さんで、大我と会ったのはアメリカに留学に行った時って話したよね?』

「留学…そういえば…」

「うちの学校、そんな制度もあったっけ…」

「その時に、名前とは知り合ったんだ」


「今も可愛いが、あの時の名前も可愛かったぞ!」と言って頭を撫でてくるアレックスさん。なんだろう。周りには年下の子が多いからか、こういうのは新鮮だ。
髪を撫でる感覚を甘受していると、それを見ていた皆が物珍しそうに目を丸くした。


「?どうした?」

「…いや、名前さんがそういう感じなのって珍しいなって」

「あー、そういや名前はもう大学生なんだよな?コイツらよりもお姉さんって事かー」


うりうりと頭を撫でるアレックスさん。そろそろ髪が悲惨な事になっていそうだ。苦笑いを零しながら「そうなりますね」と返すと、撫でる手を止めたアレックスさんが柔らかく微笑んだ。


「…なんだか、少し柔らかくなったな、名前」

『え…?ふ、太りましたか!?私…』

「いや、そうじゃなくて!…雰囲気ってヤツがさ、柔らかくなったよ」


「前からいい子だったがな」と軽快に笑うアレックスさんに微笑み返す。
柔らかくなった。自分ではあまり分からないけれど、そうなっているのなら嬉しい。
触ることの少なくなった指輪を手の平に乗せて、アレックスさんにそれを見せると、目を軽く見開いた彼女が指輪を見つめた。


『…アレックスさん。私、前にこの指輪をくれた人が、“過去であり、今であり…未来でもある事も願ってる”って言ったこと、覚えてますか?』

「…ああ、覚えてるよ」

『…あの時は、本当にそう思ってたんです。でも…自分の間違いに、皆のおかげで気づくこと出来ました。…彼を、和也さんの事を、未来にも、今にも、望むことはもうやめます。…過去の思い出として、大切に、しようと思います』

「…そうか」


穏やかに笑うアレックスさん。そんな彼女に釣られて微笑み返すと、皆も何処か嬉しそうに顔を綻ばせていた。


「…さて、そろそろ帰りましょうか」

「だな。明日も観戦には行かなきゃだし」

「なに!?明日は試合じゃないのか!?」

「あ、はい」


「えー!」と不満そうな声をあげる彼女に、大我は深くため息をつく。
「名前は明日どうするんだ?」「私は明日はバイトで…」「そうなのか…よし!なら私も観戦に連れてけ!」「え!?」
どうやら明日も大我には大変な1日になりそう。

辰也と大我。2人の試合は絶対に見に行かなくては。

prev next